宮崎大学における研究の成果等を、広く地域社会にPRするための広報誌(平成15年度版冊子)に収載されます。
ESPとはEnglish for Specific Purposesのことで、目的・職業別英語とその教授法のことを指します。
これまでの大学における一般英語教育は、あまりにも教養主義偏向でした(教養主義が悪いということではありません)。
日・中・韓3カ国の英語力・学習実態調査でも、日本人英語学習者の英語学習の目的が抜きんでて希薄であることが明らかになっています。
このような状況の中、文部科学省は「英語が使える日本人」育成の戦略構想を打ち出し、その中で大学における効果的な英語教育カリキュラムの開発を重要課題のひとつに位置づけています。
ESPは英語を使う「目的」を明確に設定する教授法です。私たちの研究の最終目標は、この課題に対する答えを提示すること、つまり大学生のレベルやニーズが多様化するなかで、それぞれの専門に応じた英語力をつけるためには、どのような教育内容・方法・教材が必要かを明らかにすることです。
今回は特に医学分野・看護分野・工学分野について、ESPカリキュラムと教材作成の方法論構築をめざしてそれぞれの分担者と2年がかりでの研究を進めています。
今年度は、九州地区の医学・看護系と工学系の大学における専門英語教育の実態調査、および学生と専門教官に対するアンケート調査を実施し、そのデータに基づいて各専門分野における英語に対するニーズ分析(Needs Analysis)を行います。
21世紀の大学英語教育は、ESPの時代だといわれています。教養英語教育から専門英語教育への橋渡し、さらには卒業後の社会への橋渡しの役割を担うESPは、今後大学における英語教育を大きく改善するものとして期待されています。