本紹介2A Walk in the Night

 

本紹介2A Walk in the Night

本紹介2 A Walk in the Night (1989年4月20日)の表紙絵で、南アフリカの街角を描いています。

 

 →「たまだけいこ:本(装画・挿画)一覧」で全体をご覧になれます。

<本の解説>

表紙絵は当時上映されていた反アパルトヘイトのために闘った白人ジャーナリストルス・ファースト親娘を描いた映画「ワールド・アパート」(→」(「『ワールド・アパート』 愛しきひとへ」[「ゴンドワナ」 18号 7-12ペイジ、1991年]に映画評を掲載しています。) の一場面をモデルに水彩で描いています。宮崎医科大学、旧宮崎大学農学部、教育学部などの英語のテキストとして使いました。
南アフリカの作家アレックス・ラ・グーマ(1925-1960)の第1作目の物語です。アパルトヘイト政権下では、発禁処分を受けていました。南アフリカ第二の都市ケープタウンを舞台にした作品で、オランダ系と英国系の入植者に侵略され、厳しい状況の中で生きることを強いられているカラード社会の一面が生き生きと描かれています。アフリカ人、アジア人、ヨーロッパ人の混血の人たちで、人種によって賃金格差がつけられたアパルトヘイト体制の下ではカラードと分類され、人口の10%ほどを占めていました。ケープタウンに多く、その人たちは特にケープカラードと呼ばれていました。
ラ・グーマはアパルトヘイト体制と闘った解放闘争の指導的な役割を果たしていましたが、同時に、大半が安価な労働者としてこき使われ、惨めなスラムに住んでいる南アフリカの現状を世界に知らせようと物語も書きました。きれいな海岸や豪華なゴルフ場のイメージで宣伝活動をして観光客を誘致し、貿易を推進して外貨獲得を目論む政府にはラ・グーマは脅威でした。他の指導者と同じように何度も逮捕拘禁され、1966年に英国亡命の道を選びます。その後、キューバに外交官として受け入れられますが、1985年に解放を見ることなく還らぬ人となりました。
作品論→「アレックス・ラ・グーマ 人と作品4 『夜の彷徨』上 語り」(1988年)と→「アレックス・ラ・グーマ 人と作品5 『夜の彷徨』下 手法」(1988年)は下に載せてています。

作家論は→「アレックス・ラ・グーマ 人と作品1 闘争家として、作家として」(「ゴンドワナ」 8号 22-26ペイジ、1987年)、→「アレックス・ラ・グーマ 人と作品2 拘禁されて」(「ゴンドワナ」 9号 28-34ペイジ、1987年)、「アレックス・ラ・グーマ 人と作品3 祖国を離れて」(「ゴンドワナ」 10号 24-29ペイジ、1987年)に掲載しています。(玉田吉行)

最終更新日: 2009年 3月 19日 9:24 PM   カテゴリー: 南アフリカ, 本(装画・挿画), 絵画
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