私の絵画館67:朔太郎くんとカボチャとベッド
すっかり秋になりました。
秋はコスモス。と私のなかでは一直線に結びついています。ただコスモスという花のイメージは、宮崎に来る前と後ではすっかり変わりました。
明石で暮らしていた時にも秋になるとコスモスの花を飾っていましたが、それはもちろん花屋さんで買ったものでした。ですからコスモスは華奢で可憐な花だと、ずっと思っていたのです。★ 続きは題をクリック ↑
ところが宮崎に移り住んで初めての秋、家の横にある50坪ほどの畑一面にコスモスが咲きました。それは2mを越す高さで、空にむかって咲きほこりました。花そのものは変わらず可愛いのですが、そのたくましさに圧倒されました。
そして圧倒されながら思いました。来年は家のまわりもすべてコスモスの花で埋めつくそう!そこで私たちは植樹(?)を始めました。
30cm間隔で穴を掘り、そこに根がついている太めの茎を植えていきました。家のまわりをすべて植えていくのにはけっこうな時間と労力がかかりましたが、来年の秋、美しいコスモスに囲まれている<コスモスの館(?!)>を思いえがきながらの楽しい作業でした。
後日、この畑と家の家主さんをお訪ねして<さし木>の話をしたところ、ふだんはあまり大笑いなどされない奥様が、笑いがとまらないご様子。さらには他の方たちからけっこうけむたがられ恐れられているご主人まで、おかしくてたまらないという風に笑っておられます。
訳がわからず黙って笑いがおさまるのを待っていた私たちに、奥様は言われました。“コスモスは一年草なんですよ。だからさし木をしても来年花は咲かないのです・・・・・”
何十年もたった今でもアホなことをしている私たちですが、あの頃はもっとアホだったと、コスモスの季節になるといつも思い出してしまう出来事です。
絵のモデルは朔太郎くん。
“朔太郎”と言う名前から私は真っ先に萩原朔太郎を思い出しましたが、飼い主さんの年代はずっとお若く、<地球のまん中で愛を叫ぶ>という映画からとった名前とのことでした。
サクちゃんはカボチャとベッドが大好きなので、それで描いて下さいというご希望。確かにカフェでは、飼い主さんのサラダについてくるカボチャをちゃんと知っていて、サクちゃんはお座りをして待っていました。そしておいしそうに食べていました。
もうすぐ東京で、サクちゃんと飼い主さんに再会できるのが、楽しみなこの頃です。
執筆年
2015年
収録・公開
→「朔太郎くんとカボチャとベッド」(No. 84:2015年10月19日)