本紹介13 『朝、はるかに』

本紹介13 飯島光孝著『生命ある限り2 朝、はるかに』(1993/4/3)の表紙絵です。表紙絵にあけびを描いています。

 

 

「通草(あけび)」もどうぞ。

作者の作品「生命ある限り」の第二部が、この本です。
前作の「燃え落ちた軍艦旗」では装画にからすうりを描きましたが、今回はあけびになりました。
以前にくらべると減ったとはいえ、からすうりはまだ身近にあり、取るのも、蔓を引っぱれば実も一緒についてきますので、ずいぶん楽です。
それに比較して、あけびは手に入れるのが、かなり大変です。
最初は電話で注文していました。市内から西の山の方へ、バスで30分くらい行くと綾という町があります。そこの〈本ものセンター〉というところに電話でお願いするのです。
枝つきのあけびが入ると、私はバスか自転車で受け取りに行きます。自転車なら片道一時間半かかりますので、一日仕事のサイクリングです。
ところが数年後、そこでは手に入らなくなりました。もう自分たちで探すしかありません。目印は三つの葉です。実の色もよく似ている〈むべ〉は、一つの細かい小さな枝から五つの葉がでているのですが、あけびは三つの葉がついています。大きな木に絡んだ蔓たちのなかから三つの葉っぱを探します。
幸い当時住んでいた家からは、それぞれ自転車で15分くらいのところに、東には市民の森があり、西には平和台公園がありました。どちらもかなり広い森や林のある場所ですので、丁寧に探せば、あけびの見つかる場所がいくつかあります。
ただ蔓植物の宿命でしょうか。今年見事なあけびの実が見つかった、と喜んで、翌年同じ場所に行くと、あたり一面が根こそぎ刈り取られています。
そこで一度がっくりと気落ちし、次に気持ちを切り替えて、その年の新しい場所探しが始まります。たいていは高い木の上にありますので、相方が忍耐と執念で木によじ登り、実が落ちないように、そおっと持って降りてきます。
ある年、平和台公園の大きな池の周りを探していると、とてもきれいな実が、池に張り出した枝の先に絡まっていました。実がぶら下がっているのは、枝のかなり先の方ですので、一応は止めましたが、そんなことではひるみません。
横に延びた木の枝にヘビが添って進んでいく場面を、テレビで見たことがありますが、あの人間版です。
けれど、山登りもそうですが、行きよりは帰りの方が難しい。貴重なあけびの枝を手に持ちながらのもどりですので、難度はさらに上がります。
あともう少し、というところまでもどった時、”後は下に降りるわ”と相方が言いました。見ると下はまだ池の水です。池のふちまでの距離を、どう目測しそこなったのか。”まだ無理よ”という忠告を、”大丈夫、大丈夫”と聞き流した彼は、そのまま池のなかに。
次回から、あけび取りに出かける時は、必ず着替えを持っていくようになりました。

最終更新日: 2009年 6月 29日 10:43 AM   カテゴリー: 本(装画・挿画), 絵画,
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