2018年2月私の絵画館
<りんちゃん、すずちゃんとメキシコのサボテン>
最近は高齢者と呼ばれるようになっても、元気に活躍されている方がたくさんおられます。それも70歳代、80歳代をこえてです。そのような<アラハン>(100歳前後)世代の本がよく売れているとか。★ 続きは題をクリック ↑
確かにそのお年まで元気に生き抜くためには、それぞれ何か信念というか哲学のようなものを持っておられるはずで、私も聞いてみたいなあ、と思います。
そんなお一人が、美術家の篠田桃紅さんです。私がその方のことを知ったのは2・3年前でしたが、ちらっとみた作品に<すごい迫力だ>と感じたことを覚えています。
ところが、現在も進行形で活躍しておられるようで、御年105歳。アッパレ!としかいいようがありません。
その桃紅さんの言葉の一節に<ことわる勇気をもとう>というのがあると聞きました。昨年末に思いあたることがあった私は、少しばかり後悔もまじって<ほんとうだなあ・・・・>と、つくづく思いました。元気でなければ、自分の描きたい絵も描けないからです。
私は20代~30代にかけて、神戸で伊川寛という先生の絵の教室に通っていました。そこでは、ヌードのモデルさんを中心に、それぞれが好きな場所で、それぞれが好きな画材で絵を描いていました。痩せて飄々としておられた先生は、小磯良平と同期だったそうで。<あいつはうまいことマスコミにのったからなあ>と、少し悔しそうに話されるのを何度か聞いたことがありました。
その教室のグループは、毎年神戸の元町駅近くの画廊でグループ展をしていました。メンバーの中には、私も尊敬している<ほんものの画描きさん>もいましたが、おおらかなメンバーは、段違いに下手だった私も、快く参加させてくれました。
先生は晩年、透析のために入院され教室にはこられなくなりましたが、私はグループ展に出す絵を必ず先生のところに持っていき、見ていただきました。
ベッドに寝ておられる先生は、私の顔をみると笑顔になりムクッと起きあがり<絵の具をかしてごらん>と言われます。そして<一応これはこれでいいんだが・・・・>と言いつつも、気になる箇所にちょっちょっと筆を加えて下さいました。すると、下手な絵なりに見事にレベルアップするのです。<そうか、そう描くのかあ・・・・>と、私はいつも目の覚める思いでその筆使いをみていました。
グループ展には、毎年先生も絵を出しておられましたが、私が最後に見たのは一枚の水仙の絵でした。小磯良平とは全く違うけれど、先生は都会的な軽妙でおしゃれな絵を描かれており、私はその画風がとても好きでした。
ただ、先生が病室で描いたであろうその水仙の絵は、これまでの先生の絵とは少し違ってみえました。
描きたい絵を描くためには健康でいなければならないことを、私はその時ぼんやりとでしたが、実感しました。そのしばらく後、先生の息子さんから宮崎に住む私のところに訃報が届きました。
それだけに、105歳でなお描きたい絵を描いておられる桃紅さんは<偉人だ>と思ってしまいます。
実力、体力、気力、いずれも、くらべることさえ恐れ多いことですが。ほんの少しでも近づきたいものだと、ひそかに願っている私です。
2018年度として、ようやく1枚目の作品が完成しました。
東京在住のりんちゃんとすずちゃんがモデルです。飼い主さんは、昔長い間メキシコで暮らしておられたそうで、ウチワサボテンと柱サボテン、そしてメキシコの太陽を一緒に、というご希望でした。
知っているようで、ほんとうは何も知らないメキシコでしたので、メキシコの空は?土の色は?から始まり、けっこう長い時間がかかってしまいましたが、昨日OKのお返事をいただけてほっと致しました。
今年りんちゃん(白色)は12才、すずちゃん(グレイ)は4才ですが。昨日のお電話の時も、すぐ横で<二人>の元気な声が聞こえていましたので、安心しました。
一昨年、昨年と続き、今年も<三人>にお会いするのがとても楽しみです。
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.