私の絵画館12:山茶花
私の絵画館12:山茶花
母は私が二十七歳の時に亡くなりました。十一月でした。
忌引きは一週間程ありましたが、母のいなくなった家に居ることがつらく、確か五日目くらいに出勤しました。
通勤の電車が特急待ちで止まるホームに、大きな山茶花の木が一本ありました。
その朝、ドアが開いたちょうどその前に、白い山茶花は、こぼれんばかりに咲いていました。★ 続きは題をクリック ↑
数日前から思考も何もかも止まったまま、ぼんやりドアの横に立っていた私に、その白さが飛びこんできました。
そして、心にしみ入りました。
何のつながりもありませんが、私はその時、「ああ、母の花だ。」と思いました。
その思いは、何十年たっても変わりません。
ですから、一番最初に描いた山茶花は、もちろん白い花でした。
執筆年
2010年
収録・公開
→「山茶花」(No. 28:2010年11月25日)