小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑮:「月は友だち?」(2021年11月20日)

続モンド通信36(2021年11月20日)

小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑮:「月は友だち?」

月に眠る(2)

 私は夏が好きでした。

小・中・高から大学、大学院まで、ずっと“夏休み”があることも大きな理由でしたが。暑さそのものも、あまり苦になりませんでした。

ところが、ここ数年、その暑さに悩まされるようになりました。クーラーが苦手な私は、微妙な温度差が、体調に影響するようになりました。

もう一つの理由は、毎年個展をし、カレンダーを出すようになって、絵の〆切りが<暑さのまっ最中>と重なることでした。

昨年の夏は、その両方で、夜うまく眠れなくなりました。途中からは、環境を変えようと、アトリエに布団を運び込み(広々と敷く場所はないので)大きめの机の下に敷いて寝る、などという泪ぐましい努力もしました。

そんなこんなで困っていた時、娘が“裸足で土の上を歩くと、体に良いみたいだよ”と教えてくれました。

私は昔スキーで膝を痛めて以来、足首も痛めています。サポーターなしには出歩けませんので、裸足はあきらめ靴をはきますが。柔かい草の上を歩くのはいいかもしれない、と思いました。

以来、近くのキャンパスのグランドのすみっこ、草のところで、歩くことを始めました。一日1000歩。それも、普通に歩くのではなく、<ナンバ歩き>です。

日本地図を作った伊能忠敬が、高齢にもかかわらず毎日50kmも歩くことができたのは、ナンバ歩きのおかげだ、ということを聞いたからです。

伊能中図九州南半「古地図コレクション」

https://kochizu.gsi.go.jp/items/171?from=category,10,index-table

 右手右足、左手左足と最初は少しギコチなかったのですが。丹田にだけ力を入れ、あとは力を抜いていればよいとわかってからは、かなりスムーズに動けるようになりました。 始めた頃は夏の終わりでしたので、遅い時間でもグランドには少し人がいました。ある晩、グランド回りの外灯も消えたので、懐中電灯で足元を照らしながら歩いていると、走っていた学生さんが突然近付いてきて、“何を探しているのですか?一緒にさがしましょうか?”と声をかけてくれました。“いえいえ・・・・”と事情を話しましたが。ご親切に感謝して。それからは懐中電灯をつけずに歩くことにしています。

季節も移り、秋から冬に。夜グランドにくる人も少なくなりました。

シーンとしたグランドは寂しいのですが、見上げると夜空には星と月。特に月は、うすい三日月から徐々に満月になり、また新月になり、とその形が日々変わります。いつのまにか、毎日最初に月を見上げて、確かめるようになりました。

“今日は昨日より少し丸くなったねえ・・・”などと話しかけながら、今夜も1000歩、歩きます。

カレンダー「私の散歩道2011~犬・猫ときどき馬~」11月

「月に眠る」(1)

最終更新日: 2022年 1月 14日 10:08 AM   カテゴリー: エセイ
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