本紹介28『月を密かに見下ろして』

 

本紹介28『月を密かに見下ろして』

 
本紹介28西谷加代子著『月を密かに見下ろして 西谷加代子戯曲集』(1996/5/22)の表紙絵で、月見草を描いています。

 

 

「たまだけいこ:本(装画・挿画)一覧」で全体をご覧になれます。

 

この絵を見ていると、ま夜中、離れでひとり、この花とむかいあっていた当時のことを思い出します。
題名から考えて、月夜に咲く月見草を、というお話でした。
同じシリーズの「グッバイ・ネバーランド」の時の〈つつじ〉と同じように、まだ〈大待宵草〉の咲く頃ではありません。→正木邦彦『グッバイ、ネバーランド』(1997/4/1、装画/つつじ)
夜の野原を探してみると、ずっと花は小ぶりですが、マツヨイグサがかろうじて咲いています。今回もやはり、この花を大きく描くことにしました。
ふつう花を描くのは、採光を考えて、昼間が適しているのですが、その花は夜なかにしか咲いてくれません。そのため、夜早めに一、二時間寝て、ま夜中、花が咲く時に、再び起きることにしました。
みんなが寝静まっている頃、小さな花が次々と音もなく開き始めると、私もむくっと起きあがり、数時間その花々とむきあいます。そして、花たちが花びらを閉じ始めると、私ももう一度眠ります。
今から思えば、ちょっと不思議なそんな時間を、幾晩か花たちと共有した後、この絵ができあがりました。

最終更新日: 2009年 6月 22日 10:55 AM   カテゴリー: 本(装画・挿画), 絵画,
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