私の絵画館15:椿山
私の絵画館15:椿山
家から南の山の方へある程度入ったところに「椿山」があります。
こちらが椿山、という気楽そうな看板につられ、すぐそこら辺にあるのだろうと思い一人で向かったのですが、山の入り口で改めて「ここから○Km」とあり、なんと!と思ってしまいました。★ 続きは題をクリック ↑
くねくねした山道をどんどん登って行くのですが、出会う車もなく人もなく、ほんとうにこの奥にあるのだろうか、と危ぶみ始めた頃、突然ラブラドールの子犬が飛び出してきて、横を走り出しました。家にいるラブラドールの“三太”の子犬の頃を思い出し、あまりの可愛さに、“もし捨て犬だったらどうしよう。連れて帰ろうかしらん。”などと迷っていると、道の左側の奥に民家が一軒見えました。
子犬のほがらかさから考えても、きっとそこの犬ちゃんなのだろうと納得し、またくねくね登っていくと、おいしい山の水の流れる”水場”がありました。
さらにそこからいくつもの曲がり道を登ったところで、ようやく「椿山」に着きました。
一応は公園ということですが、展望のための広場があるだけで、後は近くの山を散策できる小径が整備されているようでした。
たまたま私が初めて椿山に行ったその時は、他に誰もいませんでした。
眼下に広がるいくつもの山々と木々。
空ははるかに高く、その空のむこうの方にはほんの少し海も見えるようでした。
静寂のなか聞こえるのは、風の通りすぎる音と小鳥のさえずり。
そこは自然のなかにそっと入り込める別天地でした。
その「椿山」に犬の“三太”をぽつんと置いてみました。
きっと三太にも、風の音・小鳥の鳴き声が聞こえているのだと思います。
執筆年
2011年
収録・公開
→「椿山」(No. 31:2011年2月27日)