私の絵画館17:萌ちゃん:野原にて

 

私の絵画館17:萌ちゃん:野原にて

 

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春の野原でポーズをとっているのは、シバ犬のもえちゃんです。

もえちゃんは福岡県在住の五歳。飼い主さんは、かわいらしい仔犬を飼いたいと、熊本県の「柴犬の里」を訪れたのですが、あいにくその時仔犬はいませんでした。あきらめて帰ろうとすると、”あっちにもいますよ”と声をかけられ別の棟に案内されました。それがもえちゃんとの出会いでした。★ 続きは題をクリック ↑

もえちゃんは八ヶ月になるまで誰にも引きとられずそこですごしていたからでしょうか、出会った時の目は三角で厳しい顔つきだったとか。けれど女の子らしい丸くふっくらとした姿が、その形がとてもよかったため飼うことに決められたそうです。今では目つきも優しくなり、大切な家族の一員として暮らしています。

実は、最初にお預かりしたもえちゃんの写真のなかで目がはっきり映っていたのは、顔をアップで撮った一枚でした。そこでもえちゃんの顔とあざみの花で、まず絵を描きました。

描いてはみたのですが、アザミの花の紫が少し目立ちすぎたような気がして、今度は千鳥草という小さめの花がたくさん集まっている花と組みあわせてみました。

最初お聞きしたご希望は、ほのぼのとなる様な風にということでしたが、とりあえずその二枚の絵のコピーをお送りしました。
お返事は、顔がアップになりすぎているので、室内のどこに飾っても邪魔にならない程度に。景色の中で”あっ。これもえちゃん?”とわかるくらいの存在で・・・とのことでした。

そこで、今度はコスモスの咲く原っぱのむこうの方に小さくもえちゃんに立ってもらうことにしました。そしてこの絵のコピーもお送りしました。家のなかでどこに飾ろうかと改めて考えると、どうも横描きの絵の方がいいかなあ、とのことでした。

その後、昨年の九月の大分県飯田高原での個展にご夫婦でいらして下さり、いろいろな絵を見ていただきました。

何日かたって、絵のバランスとしては、それほどもえちゃんが小さくなくてもOKです、という言葉といっしょに、新しいもえちゃんの写真が送られてきました。

もえちゃんが大好きな娘さんが、外国から帰ってこられて撮った写真でした。そのなかにいつも娘さんの帰宅を待つときのもえちゃんのポーズ、前足を組んで座っているのがありました。

春の野原のなかでもえちゃんは、今も大好きな娘さんの帰りを待っている。そんな絵がようやく出来上がりました。
ご注文を受けてから喜んで飾っていただけるまで、今までで一番長くかかった絵となりました。

執筆年

2011年

収録・公開

「萌ちゃん:野原にて」(No. 33:2011年4月25日)

最終更新日: 2018年 12月 30日 12:06 PM   カテゴリー: 絵画
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