私の絵画館:「誕生(リープ)」(小島けい)
「続モンド通信1」(2019年12月29日)
私の絵画館:「誕生(リープ)」(小島けい)
この前の日曜日、<奇跡のレッスン>という番組を見ました。それは、いろいろなスポーツをしている普通の子供たちのところに、世界で活躍する一流の選手やコーチがやってきて1週間指導する。そうして子供たちがどのようにかわっていくかを追う、というものです。
以前、フィギアスケートをとりあげた時にちらっと見たことがあったのですが、今回はハンドボールでした。
私自身が特に好きな球技というわけではありませんが。高校生の時同じ高校のハンドボール部が急に強くなりました。ハンドボールに詳しい体育の先生が来たかららしいということでしたが、強くなるためにはいったい何が必要なのだろう?とちょっと知りたくなりました。
指導を受けるのはある中学校のクラブで、そこにデンマークから有名な選手がやってきました。彼は、まず普段の練習を見ることから始めました。
最初はグラウンドを走る。その時、日本では珍しくありませんが、かけ声をかけながらみんなで走ります。彼は通訳の人に、彼等は何故声を出して走るのか?と聞き、あれはかけ声ですと教えられます。それに対し、歌っているのかと思った!とまずビックリ。
そして、次々と整然と練習がこなされていきます。この段階では、技術的にはかなりできている、と彼は判断していました。
ところが、試合形式に入った途端生徒たちの動きがバラバラになり、得点にむすびつきません。決まった練習では見せていた能力が、全く発揮されないのです。
その理由は、少し前に行われた試合のビデオを見てはっきりしました。実はこの部活動の指導は、ねっからの体育系と思われる女の先生がされています。生徒たちは試合中も、その先生の指示の声を聞きながら動いていたのです。瞬時に判断して動くスピードが必要とされる試合に、これでは動きがまにあいません。
さらに、声を出せ!声が出てない者が失敗するんだ!とゲキが飛びます。そうなるとまだ上手とはいえない生徒たちはますます萎縮して、動きがさらにぎこちなくなってしまいます。
ここでコーチの指導がいよいよ始まりました。まずやったことは、デンマークではよく使われているというゲーム感覚を取り入れた練習です。自分でドリブルをしながら、同時にスキを見て他の人間のボールをはじき飛ばすというものです。遊びのようですが、いつもまわりを見ながら動く練習になっています。
子供たちは初めての練習に、楽しそうに取り組み始めました。いつもの決まった練習では見せなかった笑顔や笑い声もおこります。
次々と展開されていく練習も、あくまで実践に即した内容が続きます。
こうしたなかで、それまで怒られるのが恐くてクラブをやめたいなあと思っていた生徒や、試合では決して使えないと先生に思われていた生徒たちが、予想外の能力を発揮していきます。
ほめられたことのなかった子がほめられて自信をつけたり、今回はまだ前編でしたが、様々な変化が子供たちにおこっていました。
後編では、前回負けたチームと再び対戦するということです。どうなるか予想もつきませんが。
コーチが生徒たちに伝えたかった大切なこと。
その1は、楽しむということ。その2は、その時どう動くかを、自分で考え判断すること。だったのではないかと思いました。
楽しんでやれば、これまで出せなかった声も出せ、他のメンバーとのコミュニケーションもとれるようになるでしょうし、すばやく判断して行動すれば、得点にもつながっていくはず。
ハンドボールで強くなるために必要なもの、だったはずですが。ふり返るとこの2つは、ハンドボールという1つの球技だけに限られたものではないような。
そんなことに気付かされた夜となりました。
子馬の名はリープ。何年か前のうるう年の2月に生まれました。名前はその<leap year>からつけられました。
子馬はふつう生まれてまもなく、自分の力で立ちあがります。ところがリープは、なかなかそれができませんでした。
ちょうど私が牧場に行った時も、リープは立とうとしてはバタッ!と倒れ、を何回も繰り返していました。
立つことができないとお乳を飲むことができず、子馬は生きていくことができません。そのためオーナーのメグさんが、必死で世話をしておられたのです。
そのかいあって、まもなくリープは見事に立ちあがり、元気に育つことができました。
今はちがう牧場でほがらかにすごしていると、少し前に教えてもらいました。
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.