チェックとスカイ

 

チェックとスカイ

 
私が通っている乗馬クラブ →COWBOY UP RANCH(宮崎市清武町 大字今泉甲6618)の馬の親子です。
 

chekku to sukai 3

 
「チェックとスカイⅡ」もどうぞ。



スカイ

 

スカイ

私が通っている乗馬クラブ →COWBOY UP RANCH(宮崎市清武町 大字今泉甲6618)の馬です。
 

 

 

「私の散歩道2012~犬・猫・ときどき馬」12月

 

「私の散歩道~犬・猫・ときどき馬~一覧(2004年~2021年)」もどうぞ。



本紹介13『朝、はるかに』

 

本紹介13『朝、はるかに』

 
本紹介13飯島光孝著『生命ある限り2 朝、はるかに』(1993/4/3)の表紙絵です。表紙絵にあけびを描いています。

 

 

「通草(あけび)」もどうぞ。

作者の作品「生命ある限り」の第二部が、この本です。
前作の「燃え落ちた軍艦旗」では装画にからすうりを描きましたが、今回はあけびになりました。
以前にくらべると減ったとはいえ、からすうりはまだ身近にあり、取るのも、蔓を引っぱれば実も一緒についてきますので、ずいぶん楽です。
それに比較して、あけびは手に入れるのが、かなり大変です。
最初は電話で注文していました。市内から西の山の方へ、バスで30分くらい行くと綾という町があります。そこの〈本ものセンター〉というところに電話でお願いするのです。
枝つきのあけびが入ると、私はバスか自転車で受け取りに行きます。自転車なら片道一時間半かかりますので、一日仕事のサイクリングです。
ところが数年後、そこでは手に入らなくなりました。もう自分たちで探すしかありません。目印は三つの葉です。実の色もよく似ている〈むべ〉は、一つの細かい小さな枝から五つの葉がでているのですが、あけびは三つの葉がついています。大きな木に絡んだ蔓たちのなかから三つの葉っぱを探します。
幸い当時住んでいた家からは、それぞれ自転車で15分くらいのところに、東には市民の森があり、西には平和台公園がありました。どちらもかなり広い森や林のある場所ですので、丁寧に探せば、あけびの見つかる場所がいくつかあります。
ただ蔓植物の宿命でしょうか。今年見事なあけびの実が見つかった、と喜んで、翌年同じ場所に行くと、あたり一面が根こそぎ刈り取られています。
そこで一度がっくりと気落ちし、次に気持ちを切り替えて、その年の新しい場所探しが始まります。たいていは高い木の上にありますので、相方が忍耐と執念で木によじ登り、実が落ちないように、そおっと持って降りてきます。
ある年、平和台公園の大きな池の周りを探していると、とてもきれいな実が、池に張り出した枝の先に絡まっていました。実がぶら下がっているのは、枝のかなり先の方ですので、一応は止めましたが、そんなことではひるみません。
横に延びた木の枝にヘビが添って進んでいく場面を、テレビで見たことがありますが、あの人間版です。
けれど、山登りもそうですが、行きよりは帰りの方が難しい。貴重なあけびの枝を手に持ちながらのもどりですので、難度はさらに上がります。
あともう少し、というところまでもどった時、”後は下に降りるわ”と相方が言いました。見ると下はまだ池の水です。池のふちまでの距離を、どう目測しそこなったのか。”まだ無理よ”という忠告を、”大丈夫、大丈夫”と聞き流した彼は、そのまま池のなかに。
次回から、あけび取りに出かける時は、必ず着替えを持っていくようになりました。



本紹介16『桜殺人事件』

 

本紹介16『桜殺人事件』

 
本紹介16遠藤康著『遠藤康戯曲集 さくら殺人事件』(1994/8/4)の表紙、裏表紙、帯、挿画のイラストに桜を描いています。

 

 (表紙です。)

(裏表紙です。)

 

(背表紙です。)

 

(帯です。)

 

(挿画のイラスト1です。)

 

(挿画のイラスト2です。)

 

(挿画のイラスト3です。)

 

(奥付のイラストです。)

花を描く時は、できる限り本物の花を目の前にして描きたい、と思います。色も形も香りも、自然に勝るものはないと思うからです。
そのためモデルとなる花を手に入れるのも、ひと苦労です。花屋さんで買うことのできる場合はまだ楽ですが、桜となるとそうはいきません。
桜はたいてい街路樹として植えられていたり、公園のなかにあります。大きな声ではいえませんが、絵を描くためとはいえ、公共のものを幾枝かいただくわけですので、非常に気を遣います。
避けられればよいのですが、この本は題名が「桜殺人事件」です。桜以外の花は考えられません。
雨の夜を選び、いよいよ決行という時、あさはかな私は、目立たないためには黒しかない、と思いました。黒の上着、黒のズボン、黒の長靴、黒の帽子。手には大きな黒の旅行バッグと黒の傘。
いざ出発、とでかけましたが、目的地の公園までには、車の通る道路を歩かねばなりません。でも、花泥棒をするわけですから、ライトに照らされて顔を見られてはいけません。
対向車のライトが近付くと、黒装束で、散歩には不似合いな大きな旅行バッグをさげた二人は、パッと傘を下にさげ、顔を隠して通りすぎます。
その夜、そんな苦労をして、ほんの幾枝かをいただきました。
後日、お友だちのご夫婦に、その雨の夜の出来事を話したら、そんな不自然な格好をしたらそれだけで目立ちすぎでしょう、と大笑いされてしまいました。
なるほどなあ、と納得してからは、さりげない格好をして、さりげない大きめの復路をもって、桜の木に近付くようになりました。

「桜」もどうぞ。

「たまだけいこ:本(装画・挿画)一覧」で全体をご覧になれます。



本紹介28『月を密かに見下ろして』

 

本紹介28『月を密かに見下ろして』

 
本紹介28西谷加代子著『月を密かに見下ろして 西谷加代子戯曲集』(1996/5/22)の表紙絵で、月見草を描いています。

 

 

「たまだけいこ:本(装画・挿画)一覧」で全体をご覧になれます。

 

この絵を見ていると、ま夜中、離れでひとり、この花とむかいあっていた当時のことを思い出します。
題名から考えて、月夜に咲く月見草を、というお話でした。
同じシリーズの「グッバイ・ネバーランド」の時の〈つつじ〉と同じように、まだ〈大待宵草〉の咲く頃ではありません。→正木邦彦『グッバイ、ネバーランド』(1997/4/1、装画/つつじ)
夜の野原を探してみると、ずっと花は小ぶりですが、マツヨイグサがかろうじて咲いています。今回もやはり、この花を大きく描くことにしました。
ふつう花を描くのは、採光を考えて、昼間が適しているのですが、その花は夜なかにしか咲いてくれません。そのため、夜早めに一、二時間寝て、ま夜中、花が咲く時に、再び起きることにしました。
みんなが寝静まっている頃、小さな花が次々と音もなく開き始めると、私もむくっと起きあがり、数時間その花々とむきあいます。そして、花たちが花びらを閉じ始めると、私ももう一度眠ります。
今から思えば、ちょっと不思議なそんな時間を、幾晩か花たちと共有した後、この絵ができあがりました。



本紹介45『鎌倉百景』

 

本紹介45『鎌倉百景』

 
本紹介45佐藤繁著『エッセー 鎌倉百景』(1998/10/22)の表紙絵で、鎌倉の景色と銀杏と紫陽花を描いています。

 

 

「紫陽花(あじさい)」、→「三太とイチョウ」もどうぞ。

(裏表紙は作業中です。)

一度は訪ねてみたいと思う場所ですが、私はまだ鎌倉へ行ったことがありません。
何年か後にゆっくり行けるといいなあと思いつつ、編集者の方からどっさり送っていただいたパンフレットや写真を見ながら、この絵を描きました。
扉をあけるとすぐにある「名所絵図」も、たくさんのお寺があることに驚きながら描きました。ひどく細かい作業だったことを覚えています。
ところで、この本は確か平塚市のある書店(その一軒だけですが)で、ある時期ベストセラーになったそうです。
作者が元県立大磯高校の教師で、その書店が元生徒さんの家だったということは、おいておくにしても、「神奈川新聞」や「湘南ホームジャーナル」など、地元の新聞や雑誌にとりあげられたことが、大きな理由ではないかと思います。
本の書評の場合、装画にまで言及してもらうことはまれですが、〈表紙の裏表を一枚の絵としたカラフルなイラストが、鎌倉への興味をいっそう呼び起こすようでもあって楽しい〉と評してもらって、嬉しかったです。
編集者の方たちのおかげです。

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本紹介19『汝が心告れ』

 

本紹介19『汝が心告れ』

 
本紹介19押川昌一著『汝が心告れ 押川昌一戯曲集』(1995/1/3)の表紙絵です。表紙絵に子供たちと犬のいる田舎家とからすうりを描いています。

 

 

 

「烏瓜(からすうり)」もどうぞ。

 

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「汝が心告れ」は、「馬車道の女」に続いて出版されました。
「汝が心告れ」が、長野県に学童疎開をされた作者の体験がもとになっているということで、今回は農家の絵を、とのことでした。
田舎の大きな農家といわれ、私は熊本県にある母の実家を思いうかべました。
私がその家を訪れたのは、小学生の頃、一度だけです。
祖父が危ないという知らせを受け、両親は私をつれて、夜行列車で兵庫県の西宮から熊本へむかいました。
翌朝その家に着くと、広くてほの暗い座敷に、やせこけたおじいさんが、うすく横たわっていました。
断片的な記憶のなかで一番覚えているのは、初めて会う祖父のことではなく、五右衛門風呂でした。
釜でやけどをしないよう恐る恐る入りましたが、何より恐かったのは、猫が戦利品としてお風呂のすぐ横に置いていった、ねずみの死骸でした。
危篤ということであちこちから親戚が集まりましたが、祖父は叔父がおみやげに持ってきたアイスクリームを口にするうちに、少しずつ元気を取りもどしていきました。
医者である叔父によれば、単なる栄養失調ということでした。
母は毎日懸命に料理をし、祖父はそれをゆっくりおいしそうに食べました。
数日後、私たちが帰る前日には、母が作った特大のいなりずし(田舎の大きなうすあげにあわせてご飯をつめたので、普通の三個分はありました。)を二個、きれいに食べるまでに回復しました。
祖父はその後、すっかり回復し、数年間元気にすごしたと聞いています。
実際にその家ですごしたのは、その時一度だけですが、二十数年後、私は父と家族といっしょに、その家の前に立ちました。母はすでに亡くなっていました。
住む人のないまま、年月はすぎていましたが、門構えだけは、かろうじて残っていました。
その時撮った一枚の写真をもとに、この絵ができました。



本紹介27『さざん、くろーす』

 

本紹介27『さざん、くろーす』

 
本紹介27広野安人著『さざん・くろーす 広野安人戯曲集』 (1996/5/22)の表紙、裏表紙、扉絵、挿画のイラストで椿を描いています。

 

 (裏表紙、扉絵、挿画のイラストは追って掲載します。)

 いつからか、椿を好んで描いてきました。たくさんの種類のあるなかで、私の椿は「やぶ椿」です。その花のたたずまいが好きなのだと思います。
私の住んでいるところから少し、といってもある程度山の奥の方に入った場所に「椿山」があります。
はじめてその展望台に行った時、私は一人でした。はるかな峰々にかこまれた静寂のなかで、鳥のさえずりだけがきこえました。空と山と私だけの世界でした。
その時の感動で、私は「椿山」シリーズの絵を数枚描きました。なかでも一番気に入っているのは、犬(ラブラドール・レトリ-バー)の三太が、あの時の私と同じように、展望台をながめている絵です。

さんたの「椿山」です。

 

犬の三太は夜寝る時も、私といっしょに二階の寝室へいきます。そして私のベッドの横に三太の布団を敷いて、そこで寝ます。
けれど、三太は時々私の知らない間に、南の山の奥の方にある「椿山」へ遊びに行っていると思います。
「椿山」への道は、ごく普通の車も通れる山道ですが、途中で突然ゴールデン・レトリバーの子犬が現れ、親しそうについてきたりします。
また少し広い谷間では、野生のサルの一団が、気ままに遊んでいる時もあります。野うさぎが横切ったりすることは珍しくありませんが、キジが歩いているのに出くわした人もいます。
そんな道を通りながら「椿山」へ着くと、ぽっかり開けた展望台があります。
誰もいません。空と山の峰々、鳥の声。そして遠くを見ているのは、三太です。

「椿」もどうぞ
「樟の風影」の表紙絵、2011年カレンダー→「私の散歩道2011~犬・猫・ときどき馬~」の3月、ブログの→「ジェリーと椿」、2009年カレンダー→「私の散歩道2009」の表紙絵もどうぞ。

 

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本紹介8『馬車道の女』

 

本紹介8『馬車道の女』

 
本紹介8押川昌一著『馬車道の女 押川昌一戯曲集』の表紙絵で、風景と柿を描いています。

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作者の「あとがき」によれば、この本のタイトルになった「馬車道の女」は、山本学、佐藤オリエたち五五の会が全国公演をした作品だそうです。
また「遠い灯」は、佐々木あや率いる劇団文芸が創立二十周年を記念して、作者の現代劇ばかり六本を連続公演したなかの、これだけが初演の作品だった、とあります。
同じ「あとがき」のなかには、この戯曲集の出版が、編集者の小澤紀子さんの誠意と熱意で実現したことも、述べられていました。
この本の装画ですが、最初は鹿鳴館の時代の女の人が主役でした。和風の髪に西洋風のロングドレスを身につけた女性がもの憂げに立っている。
けれど、背景となる当時の街の様子としっくりかみあわなかったのでしょう。
結局、当時の建物を秩序無しにどんどん描き入れていくことで、全体の時代を感じとってもらう、という絵になりました。
そして、前年の秋、庭の小さな柿の木がたった一個みごとな実をつけたのですが、その柿の絵が、何故か加えられることになりました。

「柿」もどうぞ。→飯島光孝著『さざん、くろーす』、→飯島光孝著『生命ある限り第3部 一番美しく』、→平井眞一著『随所に主宰とならん』、→飯島光孝著『続生命ある限り お空の中ほど』(装画・挿画/海岸の風景・扉絵の柿)の表紙絵・扉絵、→飯島光孝著『燃え落ちた軍艦旗』、の扉絵にも柿を描いています。

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本紹介57『ぼくの夏の種』

 

本紹介57『ぼくの夏の種』

 

本紹介57小林照明著『ぼくの夏の種 小林照明戯曲集』(2003/8/12)の表紙絵で、つりがね草を描いています。

 

 

 

今改めて、あとがきにかわる私家版「ぼくの夏の種」を読みかえしてみると、この本の表紙を飾る花には、真夏の花が似つかわしかったのではないか、とも思うのですが。当時は編集者の方と相談し、その時一番美しく咲いている花として、カンパニュラを選んだのだと思います。
この花は、小さい頃は見かけない花でした。初めて見たのは30年近く前で、その華やかさ・豪華さに感動し、玄関の大きな壺に一杯活けたのを覚えています。
出会いが花屋さんでしたので、花屋さんで売られている、どこか人工的な花というイメージの強かったカンパニュラですけれど、最近その意識が変わりました。
それは、広い野原のような”ガーデン”のなかで、全く自然に風に揺れながら立っていました。しかも、何種類ものかわいいカンパニュラが、そよいでいました。
ああ、こんなに可憐で、しかも野性味のある、自然に生きているカンパニュラを、私も描いてみたい、と思いました。
倉本聡のドラマ「風のガーデン」の一場面でした。

 

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