私の絵画館35:子猫とイチョウ
今年も九月、大分県飯田高原にある“九州芸術の杜”で、個展をしました。昨年より3点多く、74点の絵を展示しました。相変わらず、絵や絵のカード等展示物を送るだけでも大変でしたが、その後、私たちがギャラリーの2階で宿泊する10日間の食べ物を準備することも、やはりかなりのものでした。高原では、まわりにお店がなく仕方のないことですが・・・。★ 続きは題をクリック ↑
毎年倒れそうになりながら高原にたどり着き、また疲れ果てて帰ってくるのですが、それでも、店を開いているからこそ、いくつもの出逢いがあります。
9月17日(火)
連休の最後の日。その日は皆さん帰り道が気になるのか、そそくさと帰る方が多いのですが、今日は台風に恐れをなしてか、来場者そのものがとても少ない一日です。
そんななか、20年前獣医学科におられた元学生さんが訪ねてきて下さいました。卒業後も相方とはずっと連絡をとりあって絵のカードもお送りしていましたが、どうしても原画がみたい、と北九州から台風のなか、いらして下さったのです。ご一緒のお友だちは動物ももちろん好きだけれど、絵も好きなので絵をみるのを楽しみに来ました、とおっしゃって下さいました。そして事実、今まで来られたなかで、最長の時間、絵を楽しんで下さいました。
彼女は何年か前に動物病院を開業されましたが、実に様々なことがあるようで。いつかも、風邪で顔はグシャグシャ、足も悪く死にそうな子猫が、むこうから歩いてきたそうです。そのまま真っすぐいくと歩道だよと見ていると、動物病院の前で急に方向を変え、入り口に続くスロープをヨタヨタ登り、ドアの前でへたりこんでしまったとか。おかげでその子は命びろいをして、足はピーンとつっぱったままですが、とても元気に暮らしているそうです。
以前、家で生まれた子猫の里親さがしの時、高級そうな服を着たきつそうなお母さんと娘さんに抱かれて、イヤがったことのない子猫たちが、抱かれるのをいやがり、次に来られた優しいお母さんの時には抱かれてウットリ。そのままそのお家の子になったということもあり、猫には不思議な力があるというのが、その場にいた4人の一致した意見でした。
またある時には、傷ついた野鳥が飛んできて何故かドアの前でバサリと倒れたのだそうです。もちろんその鳥は、手厚い治療を受けた後、元気に飛び立ってゆきました。
長年飼っていて、獣医としての勉強もさせてもらったという、深い関わりのあった犬ちゃんショーコちゃんの絵を、描かせていただくことも嬉しい出来事でしたが、その病院で、宮崎の動物病院でしていただいているように、絵のカードのボードを置かせていただくことになり、紹介もOKとのこと。こんな嬉しいことはありません。
多くの方に絵を見ていただける機会をいただけたことも、大変な思いをしながら高原にやってきたおかげだなあ、とつくづく思いました。
詳しくは→「2012年個展報告」
イチョウが美しく色づく季節になりました。今回の絵は、そのイチョウを、子猫たちに見上げてもらいました。
執筆年
2012年
収録・公開
→「子猫とイチョウ」(No. 51:2012年11月5日)