私の絵画館36:ラックくん、アンくんと椿
父は20年前に84歳で亡くなりましたが、晩年、新しい知識を私たちに嬉しそうに教えることがありました。その時私は、またテレビの受け売りでしょう、と心のなかでちょっとバカにしていました。
けれど最近の私は、とても父に似てきてしまいました。絵を描くのに眼鏡が手放せなくなってからは、絵を描く時以外は、極力眼鏡を使わないようにしています。そのため、よほどでないと本も読まなくなりましたし、この頃は新聞さえも面倒になりました。★ 続きは題をクリック ↑
家にテレビのない時代も長かったのですが、新しいことを知るのに、今やテレビはとても便利な存在です。
以前はあたりまえと思っていたことが、全くちがっていた、ということもたくさん知りました。例えば、運動時の水分補給について。
高校の時、私はワンダーフォーゲル部にいて、毎月近くの六甲山に登っていました。その時休憩で飲むお水は、先輩から回ってくる一人コップ一杯の粉末のオレンジジュースだけでした。それをとても大事そうにかかえ、大切に飲んでいた記憶があります。
ところがいつのまにか、運動時には、もちろん登山の時も、こまめに水分をとりましょうと教えられるようになりました。
常識も、ずいぶんいろいろ変わったように思います。
先日の日曜日、ちらっと見た番組では、“足こぎ車椅子”がとりあげられていました。病気で半身不随になった人には、厳しくつらいリハビリが待っている、のが今までの普通ですが、その足こぎ車椅子を使えば、麻痺しているはすの足が自然に動き、今までより楽しく楽に機能が回復するというのです。
病気になった叔父の看病に疲れ、倒れてしまった後右半身が動かなくなり、リハビリを続けている叔母様に、今度手紙で教えてあげよう、と思っているところです。
この絵のモデルは、ダックスフンドのラックくんとシーズーのアンくんです。どちらも今は生きていませんが、絵のなかでは楽しく遊んでもらおうと思い、飼い主さんが大好きな椿のお花といっしょに描きました。
今では、ご主人とお二人、毎朝絵のなかの<二人>に“おはよう”と挨拶をして、一日が始まるそうです。
執筆年
2012年
収録・公開
→「ラックくん、アンくんと椿」(No. 52:2012年12月4日)