私の絵画館39:玄風と紫木蓮
宮崎の冬は、それなりに寒い。
いくら南国とはいえ冬は寒いのだということを、<外>から来た人のほとんどは知りません。
25年前の3月末に引越してきた時、私たちもそうでした。南国で、3月も終わりだというので、かろうじて持って来た暖房は、
小さな電気ストーブだけでした。★ 続きは題をクリック ↑
けれどあいにくの菜種梅雨。頼みのお日様は全く照らず、ひどく肌寒かった。翌日大慌てでストーブを買いに走った記憶があります。
家の猫のファミリー(母猫と二匹の子猫)が初めてすごした冬も、やはり普通に寒い毎日でした。夜はケージですごす三匹は、互いにくっついて寝ていましたが、ある夜一番体が弱くて小さいぴのこという子猫が、ブルブル震えだして止まりませんでした。
それ以来、毎晩小さなストーブをつけて寝るようになりました。
ところが昨年末、猫に関しては大先輩のお友達から、湯たんぽを入れてあげると喜んでかかえて寝るわよ、と教えられました。
その夜、さっそく娘にその情報を伝えました。すると“猫が湯たんぽをかかえるわけ・・・・・?”と電話のむこうで一瞬の沈黙。私もそう聞きかえされて一瞬沈黙。その時、東京と宮崎で同時に同じ画像を頭に描いてしまいました。
それは、一番ひ弱でやせているぴのこが二本の足ですっくと立ちあがり、両手でヒシッ!と大きな湯たんぽをかかえている、そんな図でした。今猫たちは、立ちあがりはしていませんが、毎日気持ちよさそうに湯たんぽの丸みにより添って寝ています。
紫木蓮の咲くなかを、みごとなたて髪をなびかせて走っているのは、“玄風。”私が牧場に通い始めた頃は、お兄ちゃん馬が苦手なちょっと気弱な男の子でしたが。その後、“スカイ”や“マックス”などのお父さんとなり、貫ろくもつきました。
馬主さんは年を重ねられて、以前のようには会いに来られなくなったそうですが、かわりに若くて元気な研修生の方が、毎日大切にお世話をしておられます。
執筆年
2013年
収録・公開
→「玄風と紫木蓮」(No. 55:2013年3月4日)