私の絵画館68:秋日和―サンダンス―
長い間続いた神戸でのグループ展が終わり、個展をするようになって8年。私の1年はくっきりと3つに分かれるようになりました。
12月から翌年の9月中旬までは、ひたすらこもって絵を描いています。その間に出かけるのは乗馬とジャズダンスの教室だけ。
9月の中頃絵を描き終えると、それからはにわかに慌ただしくなります。幾人もの方に手紙を書き、荷物を発送し、並行して私のデンタルクリニック通いが始まります。★ 続きは題をクリック ↑
歯医者さんとは25年以上のお付きあいですが、当初から予防中心の考え方ですので、検診が欠かせません。年に3~4回が理想ですが、街から遠く離れた場所に引っ越してからは年1回と、勝手に決めています。
何しろバスも電車も1時間に1本。へたをすると2時間に1本となりますので、20~30分の治療でも1日仕事となり、気楽には行けません。あまりの不便さのため、この頃は街へも自転車で行きますが、歯医者さんまでは片道1時間半。今年は自転車で1時間走った後はバスの力を借りました。1回の検診で3~4回通いますので、年1回で勘弁してもらっています。
この歯医者さんでは最初に先生がじっくり全体をチェックされ、
その後はベテランの助手の方が担当します。そのため先生とはいつも二言三言話すだけなのですが、私の絵のカードのアルバムを作って待合室に置いて下さるような心優しい先生です。
ふだんは言葉少ないその先生が、前回珍しく話をされ、最後にこう言われました。“好きな時に好きな事をして、行きたい所に行き、会いたい人に会い、食べたい物を食べる。そんなふうにふだんからやりたいことをやっておくべきです。そうすればたとえどんなに大変な状態になっても後悔が少なくてすみますから。”
その言葉に私も”ほんとうにいつ何がおこるかわかりませんものねえ”と納得のお返事を致しました。歳を重ねると思いもかけない状況になることもあり、今かろうじて元気に生きていることは
<奇跡>のようなものだと思ったりするからです。
そして11月は個展であたふたとすぎてしまい、また12月絵とむきあう日々の始まりとなります。
この絵の馬は<サンダンス>。私が乗馬を始めた頃お世話になりました。しばらくして唐津の牧場に移りましたが、先日お聞きしたところ、片目は見えなくなっているけれど、それでもお客様を乗せて働いているとのことでした。私が乗馬を始めて10年。サンダンスも年をとったのでしょうが、元気で生きていてくれて嬉しい限りです。
この絵も乗馬を始めてまもない頃に描きましたので、パステルは使わず、水彩だけで描いています。
執筆年
2015年
収録・公開
→「秋日和 ―サンダンス―」(No. 85:2015年11月20日)