私の絵画館75:旅する子猫2ニモと傘
熊本の地震から1ヶ月以上たちましたが、今もまだ揺れ続ける不気味な日々。あたかもそれに連動するかのように関東の方でも地震がありました。
どこかで何かがおこるたびに、運・不運を分ける一瞬の選択が話題になります。あの時あの選択をしていなかったら・・・という痛恨の場面は、誰の人生にもおこり得るのだと思います。★ 続きは題をクリック ↑
ただ、それと反対に<たまたま>のおかげで助かる場合もあるようです。身近な例として、娘のお友だちの一家がそうでした。
あの東日本大震災の日。福島県いわき市に住むお友だちは、久しぶりに娘と会うため東京にやって来ました。そして吉祥寺にあるジブリ美術館に入ってすぐ、まさに子どもが大喜びで遊び始めた時、地震が起きました。
とりあえずその晩は娘の部屋に泊り、翌朝ご主人だけが様子を見るため福島に向かいましたが。実家にたどり着くまで数日かかったということでした。
実は、娘がお休みをとれるかどうか直前までわかりませんでした。たまたまお休みが取れたので、彼女たち一家は遠出のドライブに出かけたのです。
もしも休みがとれない場合は、子供たちをがっかりさせないため
福島県の海辺の水族館に行く予定をたてていたそうです。
しばらく後で、その水族館の映像をテレビでみましたが、甚大な被害を受けて閉館していました。もしも、楽しみにしていた家族でのおでかけ先が水族館だったら。おそらく帰宅途中の海沿いの道で、車ごと津波に流されていたことでしょう。
数日後、彼女と子供たちは和菓子屋を営むご主人の実家へはもどらず、彼女の実家がある岡山へむかいました。
そうして、小さい子供たちの将来を考え、福島へはもどらないと決めました。今ではご主人も合流し、岡山で新しい生活を始めています。
<あの日>がとても大きな一日だったことを、今さらながら思ってしまいます。
絵の舞台はポルトガル。この街では夏のある時期、街中が色とりどりの傘で埋めつくされるそうです。
そんな街を昨年出逢った猫のニモに旅してもらいました。
執筆年
2016年
収録・公開
→「旅する子猫2 ニモと傘」(No. 92:2016年5月25日)