私の絵画館77:旅する子猫3サントリーニ島
少し前、<ゴハン行こうよ>(シーズン1)という韓国ドラマがありました。食べることが大好きな女の人と男の人が主人公です。
題名からもわかるように、毎回たくさんのお料理とそれを食べるシーンが、かなり長い時間でてきます。国によって調理の仕方や作法の違いはあっても、おいしそうな料理をおいしそうに食べる人たちの笑顔は、それを見ているこちらまであたたかい気分にしてくれます。★ 続きは題をクリック ↑
その最終話、ひとつの詩がでてきました。小さな食堂を営むお母さんが大好きな詩ということでした。はじめ“どんな詩かなあ・・・・”とぼんやり見ていましたが、途中であわててノートを用意しました。結局正確に書きとめたのは最後の1行くらいでしたが。
それは、今寂しい思いをしている人も、つらい出来事にであっている人も、悲しみにしずんでいる人も、みんなそれらを<ごはんのようにかめ/所詮人生は消化すべきものだから>というものでした。
なにげない言葉で語られていますが、そこには人生に対する静かな諦念と、その想いを抱えつつもなお向きあうのだという固い決意のようなものが感じられ、妙に心に残りました。
ちなみに、ほんとうの主人公は男の人の方だったようで。その人以外はみんなちがうキャストで、場所もソウルから世宗市という街にかわり現在シーズン2が放映中、だそうです。
この絵は、<旅する子猫>シリーズの3作目。ギリシャのサントリーニ島です。
最近知りましたが、この島の人口は1万2千人。それに対し猫の数は人口の3倍だとか。つきぬけるような青い空、山の上まで続く白い住居。その中を軽やかに、のびやかに猫たちが暮らしています。
今私の住んでいるところはきれいな住宅地ですが、のら猫の存在を決して許さないという方たちがけっこう多いようで。引っ越してきた当初は何匹もいた猫たちの姿が、日々繰り返される厳しいパトロールの結果、ほとんど見られなくなりました。神戸で始まった<地域猫>という方法はとれないものか、と心ひそかに願うのですが。それは夢のまた夢、というのが現実です。
人と猫が自然な形で共存しているサントリーニ島が、ほんとうにうらやましい限りです。
執筆年
2016年
収録・公開
→「旅する子猫<3> <サントリーニ島>」(No. 94:2016年9月11日)