私の絵画館30:ありがとう・・・
私の絵画館30:ありがとう・・・
アトリエで絵を描いていると、いつも午後4時をすぎた頃、1階から三太の呼ぶ声がきこえてきました。散歩の時間だよ、という催促です。
集中して描いている時でも4時をすぎると、いつ呼ばれるか気が気ではなく、落ちついて描いていられなくなります。そして案のじょう、その少し高い一声がきこえます。
“ワン!!”★ 続きは題をクリック ↑
もう少し描きたかったのに、とか、もうちょっと待っててよネ、
とか少しウルサイなあと思いながらも、“ハイハイ”と仕方なく降りていくのが常でした。
今、午後4時半をすぎても誰も呼びません。
三太が自分の生命をとじたことで、私に与えられた自由な時間ですが、その自由が、今はむしょうに痛いです。
数年前三太を亡くして二週間後に書いた文章が、ふと開いた原稿用紙にはさまれていました。
人との関わりに疲れ、ほとんど外の世界と接触を絶ち、限られた空間以外は、ひたすら内にこもって絵を描いていた私にとって、三太は犬ではありましたが、“人生の相棒”のような存在でした。
外に出るのはおっくうでしたが、私の横を一緒に歩いてくれるだけで、人に会うことも平気、と思えました。
夕方の散歩は、時にはしんどく思ったりもしましたが、それが精神的にだけでなく、実際の健康面においても、大きな働きをしていたことに、体調をくずしやすくなった昨今、改めて気付かされます。
母や父と同じように、三太もはるかに遠いところにゆきました。
そうして、いつもすぐそばにいるようになりました。
生きていた時も、今も、心からありがとう、です。
執筆年
2012年
収録・公開
→「ありがとう・・・」(No. 46:2012年5月22日)
最終更新日: 2019年 1月 2日 8:49 PM カテゴリー: 私の絵画館
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