私の絵画館50:かりんちゃんと桜
私の絵画館50:かりんちゃんと桜
ある日、京都の泉屋博古館へ行きました。
数ある青銅のコレクションの中で、私はヨウ鐘に線で描かれたひとつの小さな竜に心惹かれました。時代も国も遠く離れているのに、それは『エルマーの冒険』というお話に登場する、金色の羽をもった青と黄色の縞模様の竜と、ひどく似ていました。★ 続きは題をクリック ↑
ひとの営みは、不必要なものを削ぎ落とせば、順に遡ってかえっていく遠い世から、そう変わってはいない。
ひとつの絵からこんなことを想ったのは、二十数年前明高の生徒だった私と今の皆さんと、しばしば重なってしまうからかもしれません。
無駄としかいいようのないことにあれほど情熱を注ぐことができた。それを少し気恥ずかしく青春とよべるなら、今の皆さんの三年間も、かけがえのない情熱の日日でありますように。
「ある日京都で」というこの文章を、新任の挨拶として、赴任した高校の新聞に書いた一年後、私は宮崎に来ました。
この春、宮崎に来て25年目になります。もはや3月の田植えは、あたりまえの景色になってしまいましたが、
3月の終わり頃から咲き誇る桜には、今も毎年新たに、心打たれます。
春はいつも哀しい季節だと誰かが言いましたが、そんな季節だからこそ”桜色”はひときわ美しいのかもしれません。
その優しい桜色のなかで座っているのは、福岡県在住のかりんちゃん(ダックスフンド)です。気品のある可愛さは、“お父さん、お母さん”からわが子のように注がれた、愛情のたまものにちがいありません。
執筆年
2014年
収録・公開
→「 かりんちゃんと桜」(No. 67:2014年02月16日)