小島けいの世界

☆1 お知らせ


● 「私の絵画館」更新「子猫と山桃」続モンド通信312021年6月20日

「私の絵画館一覧」(No. 1 2018/12/29~)

● 「エセイ」更新「⑪:『のらいぬ』の世界へ・・・」2021年7月20日

「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~一覧

● 小島けい2021年カレンダー表紙<回転木馬>(カルーセル・エルドラド)

 

7月<チビちゃんとしょうちゃん>  ↑

「2021年のカレンダー」(2021/4/24更新)


☆2 連載:私の絵画館


●→「子猫と山桃」続モンド通信312021年6月20日

● 「モンド通信」→「私の絵画館一覧」(81編)

● 「続モンド通信」→「私の絵画館一覧」(2018/12/29~連載中)


☆3  連載:小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬


●→「⑪:『のらいぬ』の世界へ・・・」2021年7月20日

「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~一覧

● →「小島けいのジンバブエ日記一覧」


☆4 カレンダー


● →「2021年のカレンダー」(2021/4/24更新) ↓

「2020年のカレンダー」、→「2019年のカレンダー」

● これまでのカレンダー→「今までのカレンダー」


☆5 本の装画・挿画


● 門土社(横浜)から出版された本の装画や挿画です。


アレックス・ラ・グーマ『まして束ねし縄なれば』(小島けい装画)

● 出版された本の一覧です→「本の装画・挿画一覧」(門土社)


☆6 作品紹介


<シェルターとモルディブの海>

「2018年個展 作品一覧」の中で紹介しています。

● さらに絵をご覧になれます→「作品紹介」


☆7 個展

● 2008~2012年:大分県飯田高原→九州芸術の杜ギャラリー夢

● 2013年~:世田谷区祖師谷「ルーマー」→Cafe &Gallery Roomer

● 2017小島けい個展→「個展始まりました!」

● 詳しくは「個展詳細」


☆8 額入りです


13_3_30ぎん君とももちゃんと三色菫

ぎん君とモモちゃんと三色菫です。

元の絵は→「新作です:ぎん君とモモちゃんと三色菫(2013/3/6)」

● 詳しくは→「額入り詳細」


☆9 販売情報


● カード、カレンダーを置いてもらっています

乗馬クラブ →COWBOY UP RANCH(宮崎市清武町大字今泉甲6618)
「はこ動物病院」(福岡県遠賀郡岡垣町吉木東)


☆10 更新ページに続きます →



私の絵画館:うさぎのしょうちゃんとチョビちゃん(2021年7月20日)

続モンド通信32(2021年7月20日)

 

私の絵画館:うさぎのしょうちゃんとチョビちゃん

 以前、大分県の「九州芸術の杜」で個展をしていた時、“私の店で、絵やポストカードを販売しませんか?”と声をかけていただきました。「夢色工房」というお店を開いておられる方でした。

それから長年、大変お世話になりっぱなしでしたが。数年前、お店を閉じると聞き、お礼に何か絵を描かせて下さいとお話したところ、それでは我が家にいたうさぎたちを、とお写真が届きました。

ただ、このうさぎの絵は、すぐ描くことができませんでした。理由は二つあります。一つめは、私がこれまでうさぎとは全く無縁ですごしてきた、ということです。犬・猫・馬たちは、一緒に暮らしたり、身近に接したりしてきましたし、絵も二百枚以上描いてきましたので、たとえ会ったことのない子たちでも、お写真と向きあうことで<友だち>になれました。そうして、描き始めてきました。けれどま近で見たり、触ったりしたことのないうさぎは、どう近づき<友だち>になればよいのか・・・・わかりませんでした。

さらに、もう一つ。数年前から娘さんが絵の才能を開花され、躍動感あふれる力強い絵を描いておられました。

娘さんとは全くちがう描き方の私が、ご家族の大切なうさぎさんをほんとうに描いていいのだろうか?と、少し迷ったりもしていました。

けれど、ようやく昨年完成させて、とりあえず絵のカードをお送りすると、とても喜んで下さり、ご丁寧なお手紙が返ってきました。

そこには、ご家族が非常に大変だった時期、どれほどうさぎたちの存在に助けられ、励まされてきたのかが語られていました。私などが思いもしなかったほど、その存在は大きく、心のささえであったのだと、初めて知りました。

絵の中の<しょうちゃん>と<チョビちゃん>に改めて、“あなたたち、がんばったねえ・・・・”とほめてあげたいくらいです。

ちなみに<しょうちゃん>は、娘さんが小学校からもらってきてお母さんにもなったベージュと白のうさぎです。<チョビちゃん>は、長く体調がよくなかった娘さんを元気づけるために、ご家族が買ってあげた黒いうさぎです。

しょうちゃんとチョビちゃん

カレンダー「私の散歩道2021~犬・猫ときどき馬~」7月

そういえば以前一度だけ、猫のぎんちゃんと仲よく暮らしているうさぎさんを、飼い主さんご希望の三色スミレと一緒に、描いたことがありました。

ぎん君とモモちゃんと三色菫

カレンダー「私の散歩道2014~犬・猫ときどき馬~」表紙



小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑪:「『のらいぬ』の世界へ」

続モンド通信32(2021/7/20)

小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑪:「のらいぬ」の世界へ

 

今、私の手元には、5冊の絵本が置いてあります。いずれも、長年放っていた絵本の棚から、再生した本たちです。

それぞれに選んだ理由は違いますが、大きな共通点が一つあります。それは、古典的な<名作>ではない、ということです。

どの本を<名作>というのかは、よくわかりませんが。

時代をこえて読み続けられてきた絵本といえば、私はすぐに「ひさの星」「ごんぎつね」「なめとこ山の熊」などを思い浮かべます。

それらのお話は、確かに心打ついいお話ですし、絵もすばらしいと思うのですが、私はあえてそれらの<名作>を選びませんでした。

<名作>といわれるお話には、いつも深い哀しみがこめられているからです。

日本のお話ではありませんが、「フランダースの犬」なども、子供たちが小さい頃よく読みましたが。いつも途中から涙があふれて、最後までスムーズに読むことができませんでした。感情移入しすぎる私は、深すぎる哀しみが苦手なのです。

そこで、少し寂しさがあるとしても、たちなおれないほどの哀しみではないお話を、身近に置く本として選びました。

この5冊のなかで、私がひそかに近付きたいなあ・・・と願っているのは「のらいぬ」(谷内こうた絵 蔵冨千鶴子文)です。

その本は、左のページに絵、右のページに言葉(途中から反対になります)、でできていますが、絵も文も、これ以上簡略にはできないと思われるほど、単純化されています。その絵を、言葉で説明するのは難しすぎますが。

例えば1ページめは<暑そうな砂山に少しの草、上の方に空、砂山の向こうにごく一部見えている海、そして、ひどく暑そうに歩いているのらいぬ>です。そして言葉は<あついひ>だけです。

たくさん描かないのに、想いが見る人にきちんと伝わる。

見事だなあ・・・と思います。

主役の犬も、こげ茶色一色ですが。

少年と出会えて、一緒に燈台まで走り、燈台から

海に飛び込み、また一人になって。

 

でも<あついひ すなやまに みつけた ともだち>

<いつか きっと あえる>

と暑い砂山を再び歩く<のらいぬ>は、少年と出会う前と

首のうなだれ方が微妙に違っているのです。

ひとすじの希望があるから、だと思います。

 

できる限り描かない絵で、たくさんのお話を伝えることができたら・・・・と、夢見ている私です。

「のらいぬ」表紙



私の絵画館:子猫と山桃(2021年6月20日)

続モンド通信31(2021/6/20)

 

私の絵画館:子猫と山桃

6月は山桃が実のる季節です。赤くてかわいいその実には、やはりかわいい子猫が似合いますが。

絵① No. 7 <子猫と山桃>

絵② カレンダー「私の散歩道2021~犬・猫ときどき馬~」6月

以前、馬たちとも一緒に描きました。白馬のお母さん、チェックと、生まれて間もないスカイです。

その絵で、2008年の個展案内を作りました。

絵④ 2008年個展用ポスター<山桃と馬(チェックとスカイ)>

 九州芸術の杜(大分県)で個展をしている時、その絵をとても気に入って下さった方がおられました。そして購入されました。

その後、私自身も好きだったその絵をもう一度描きたくて、同じ構図で描きましたが。一枚目よりは、背景の紫が明かるい色に仕上がりました。

絵③ <チェックとスカイ>

絵⑤ カレンダー「私の散歩道2017~犬・猫ときどき馬~」7月(山桃の樹の下で)



小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑩:「運がいいとか悪いとか・・・」

続モンド通信31(2021/6/20)

小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑩:「運がいいとか悪いとか・・・」

今日(6月20日)は日曜日。ということで、午後のカフェ・オレ・タイムは、やっぱり競馬中継です。
あいかわらず、馬券のことなど何もわからないままですが、馬の姿を見ることができるだけで、よいのです。
私がひそかに応援している騎手の方の成績が、最近は以前ほど良くないので、少し寂しいのですけれど、馬たちは今日も懸命に走ってくれている。それだけで十分です。
そして、もう一つの楽しみは、ある解説者の方にお会いできることです。元名調教師といわれるその方は、頭のハゲぐあい(すみません!)や、面長のお顔、話し方などが、私の知っている人にとてもよく似ているのです。
二つ目の高校でお会いしたその方は、最初の職員会議の時、堂々と管理職と渡りあっていました。前任校では全くいなかったタイプの方で<こんな人もいるのだなあ・・・>と強い印象を受けました。
その後、同じ部署になったこともあり、たくさんお話をして、いろいろ教えていただきました。また、様々なことで、かばったり守ったりもして下さいました。
親しくなるにつれ、私はさだまさしさんの歌詞<運がいいとか 悪いとか 人は時々口にするけど そういうことって確かにあると・・・>という一説を思い出しました。
その先生は、京大の法学部に入学した後すぐに戦争となり、戦後はご家庭の事情で復学を断念された、と聞きました。もし復学がかなっていたら、有能な弁護士さんとなり、実力を発揮されていただろうと思います。
また若い頃に奥様が大病され、その介護に何年もご苦労されたとか。亡くなられた後は、一人で幼い娘さんを育てておられました。
そのような事情を知り、私は時々、おかずのおすそ分けをするようになりました。そして、いつのまにか、年末31日のお昼頃からは家で楽しくお酒を飲んでいただき、夕方おせち料理をもって、ほろ酔いかげんで帰っていただくようになりました。
私たちが宮崎への引っこしを決めた時も、最後に家でお酒を召しあがっていただきましたが。帰り際には、<なごり惜しくて・・・>と涙を流されました。
宮崎の遠さを全く理解していなかった私たちは<また、すぐ会えますから・・・>と軽く口にしましたが。先生はその遠さを、距離の遠さが人との遠さに通じることを、すでによくわかっておられたのだと、今になって思います。
そのあとは長い間、バレンタインデーに私から<ウィスキー・ボンボン>を贈り、先生からはお礼の手紙と自作の俳句が送られてきました。
けれど数年前、先生のかわりに妹さんからお手紙が届き、<認知症になりましたので・・・>とありました。
それ以来、どうしておられるのか。とてもよく似た解説者の方のお姿を見ては、思い出す日々となりました。

<馬>といえば、先週牧場に行くとスタッフの方が「子馬が生まれて、ちょうど今、丸馬場に出ていますよ」と教えてくれました。
<カフェちゃん>という白と茶色のお母さんと一緒に、生まれて一週間の子馬がひょこひょこぴょんぴょんという感じのおぼつかない足どりで遊んでいました。
その愛らしさに感動しすぎた私は、いつもは必ずつけるサングラスをかけ忘れたり、乗馬では使わないつば広帽子を脱ぎ忘れたりしたまま、その日の乗馬を始めてしまいました。それほど子馬に心を奪われていたのか!と、後で我ながらあきれてしまいました。

牧場ではこれまでも、何頭もの子馬が生まれました。

子馬① <スカイ>

カレンダー「私の散歩道2018~犬・猫ときどき馬~」2月

子馬② <リープ>

カレンダー「私の散歩道2017~犬・猫ときどき馬~」2月

子馬③ <ひなちゃんと山茶花>


カレンダー「私の散歩道2017~犬・猫ときどき馬~」2月


子馬④ <ベティと水仙>

カレンダー「私の散歩道2014~犬・猫ときどき馬~」1月

子馬⑤ <ジャスミンとコスモス>

カレンダー「私の散歩道2021~犬・猫ときどき馬~」10月

 名前もまだついていないこの子が、6枚目となります。今から絵を描くのが楽しみです。



私の絵画館:アイリッシュ・セッター(ローラ)とマーガレット(2021年5月20日)

続モンド通信 30(2021年5月20日)

アイリッシュ・セッター(ローラ)とマーガレット(小島けい)

 私が乗馬で通う牧場の犬たちは、代々<アイリッシュ・セッター>という犬種です。賢くて人なつっこく、走るのが大好きな犬たちです、

通い始めて間もない頃、レイチェルという犬が子供を産みました。全部で何匹だったか、6~7匹もいたでしょうか。レイチェルは一生懸命にお乳をあげましたが、とても追いつきません。

すると、いつも横にいるお婆ちゃんにあたるルーシーのお乳が、突然出始めました。それからは毎日、交替で子供たちにお乳を飲ませる日々となりました。

そんなことが実際に起きるのだ!?と、生き物の不思議にびっくりしたのを覚えています。

絵①「レイチェルと子供たち」

 お婆ちゃんのルーシーは、それから長く生きましたが、何年か前に静かに息をひきとりました。

オーナーのメグさんに、これでルーシーを描いてほしいと渡された写真は、目を閉じて寝ているルーシーに夕日が射し、毛が黄金色に輝いていました。

その毛の色が描きたくて、少し濃い目の紙を使いました。花は木立ちダリアを選びましたが。カレンダーのこの絵を見たある方が<この世ではないような>と言われました。

<ルーシーと木立ちダリア>

カレンダー「私の散歩道2018~犬・猫ときどき馬~」11月

 意識したわけではありませんが、ルーシーが天国で安らかに眠っていてくれたら……そう見えてもいいかなあ、と思いました。

いつのまにか年を重ねたお母さんのレイチェルも、ゆったり座っていることが多くなり、次はレイチェルとマーガレットを描きました。牧場にいる猫たち<ジェリー>(上)と<ジャガー>(横)にも登場してもらいました。

<レイチェルとマーガレット>

カレンダー「私の散歩道2015~犬・猫ときどき馬~」表紙絵

 牧場の下には日豊本線が通っています。

夕方に解き放たれた犬たちは、大喜びで牧場内を走り回りますが、時には雑木をわけ入り線路まで行ってしまうことがあります。

ずっと牧場で暮らしている犬たちはそのあたりのことがわかっているのでしょうが。やってきて間もないシェルターは、若くて元気がありすぎたため、ある日、電車にはねられて亡くなってしまいました。

<シェルターとログハウス> No. 54

カレンダー「私の散歩道2018~犬・猫ときどき馬~」11月

 このことがあってから、もう繰り返さないようにと、広馬場の少し上に、がけをけずって細長いドッグランが作られました。今では、みんないつでも自由に走り回っています。

<シェルター>では「モルディブの海」という絵も描きました。

<モルディブの海>

カレンダー「私の散歩道2019~犬・猫ときどき馬~」8月

 この絵を見たメグさんは、「シェルターを思い切り走らせてあげたくて。たった一度、シェルターだけを連れて海に行ったことがありました。その時のことを思い出します。」と静かに話されました。

シェルターが旅立った後にも、牧場では子犬たちが産まれました。何匹かいるなかで、牧場に残ったのがエリーとメイです。

幼なくて可愛いい二匹を、ラベンダー畑と一緒に描きました。

<エリーとメイとラベンダー畑>

カレンダー「私の散歩道2016~犬・猫ときどき馬~」表紙絵

 そしてこの絵は、レイチェルの子供の<ローラ>。2年前に亡くなった彼女を、オーナーがお好きなマーガレットと描きました。後ろは、牧場に何頭もいる、小さな種類の山羊です。産まれて間もないおぼつかない足どりで、ぴょんぴょん跳ねる子山羊たちです。

<ローラとマーガレット>

カレンダー「私の散歩道2021~犬・猫ときどき馬~」4月



小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~一覧

小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~一覧

⑨→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑨:贈り物」「続モンド通信30」、2021年5月20日)

⑧→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑧:桜舞う」、2021年4月20日)

⑦→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑦:猫の時代」続モンド通信28、2021年3月20日)

⑥→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑥:「梅見月に」「続モンド通信27」、2021年2月20日)

⑤→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑤:心臓は・・・?」「続モンド通信 26」、2021年1月20日)

④→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~④:再び、8月のパリで」「続モンド通信 25」、2020年12月20日)

③→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~③:8月のパリ」「続モンド通信 24」、2020年11月20日)

②→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~②:ぼちぼち いこか」「続モンド通信 23」、2020年10月20日)

①→「小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~①:土日の午後は」「続モンド通信 22」、2020年9月20日)



小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑨:「贈り物」

続モンド通信 30(2021年5月20日)

小島けいのエセイ~犬・猫・ときどき馬~⑨:「贈り物」(小島けい)

 

人の世は、一年前よりもさらに、先の見通せない状況になっていますが。季節は、人知れずきちんと少しずつ移っていて、山の黄緑が勢いを増し<山笑う>頃になりました。

そのような自然のなか、鳥たちはいつも通りの営みを続けています。

2年前、アトリエのベランダの庇(ひさし)に鳥が巣を作りました。その時のことを私は<巣立ちの後に>(「ナミブ砂漠」「続モンド通信8」2019年7月20日])という文章で、次のように書きました。

 

「この頃の私は、<子供たち>が巣立ってしまった寂しさを感じています。今どこで暮らしているのだろう?と空っぽになった場所を見ては、思ってしまします。

2,3ヶ月前だったでしょうか。アトリエのベランダで、しきりに鳥のなき声がするようになりました。窓の外を見ても姿は全く見えませんが、声だけは確かにするのです。

ところがそのうち、家の猫たちが朝ご飯の後、そそくさと2階に上がっていくことに気が付きました。そしてある程度の時間をすごすと<やれやれ、今日のご用事が終わりましたよ>という満足気な顔で階段を下りてくるのです。

2階で何をしているのだろうと見てみると、アトリエの窓の外を、網戸越しに食いいるように見ています。猫たちの後で私も一緒に外を見ていると、しばらくしてベランダのすぐ横に付けてあるBSの丸いアンテナに、一羽の鳥がバサッバサッと音をたてて飛んできました。口には細長い枯れ草をくわえています。そして、その位置から再び羽を広げてま上に飛び上がりました。

鳥は雀の3~4倍の大きさで、ほっそりとした姿です。初めて見る鳥でした。

草は巣作りに使うのでしょう。鳥は毎日何回も草をくわえて運んできました。その度に必ずアンテナに止まるので、猫たちは間近に見る実物の鳥に色めきだち、今にも網戸を破りそうな勢いです。

アンテナから次に一体どこに飛ぶのかしらんと、鳥が遠くへ出かけた後ベランダに出てみました。するとベランダの屋根の端の方に直径10cmほどの丸い穴が空いています。2・3年前新しいクーラーに替えた時、その穴の横にあらたに管を通したようで。不要となった以前の穴は、簡単には防いだはずですが。それがはがれ落ちてしまったのでしょう。

鳥はその穴から天井部分に入り、巣作りをしているらしく、枯れ草のはしが板のすき間から何ヶ所もはみ出して垂れていました。

それから毎日、猫たちと私は折をみては窓の外を観察しました。鳥はあいかわらず、外から帰ると必ず一度アンテナに止まり、まわりを確かめてから数10cm上の巣穴へ入りました。

そのうち天井あたりから幼いなき声がひんぱんに聞こえるようになり、親鳥の動きも俄然活発になりました。バッタのような虫をくわえて帰ってきては、すぐまた再び飛びたちます。

ある時、巣の中の声が異常にけたたましくなり、大騒ぎしているので見てみると、穴から追い出された1羽のスズメが、あわてて逃げ出していきました。不法侵入者を家族総出で追いはらったのでした。

そうこうしているある日、親鳥とそっくりな形の小さな鳥が、巣からおりてきてアンテナに止まり、次に向かいの家の屋根に飛んでいきました。

卵からヒナにかえった子供たちが、とうとう外へ飛べるようになったのです。私は嬉しくて、下絵用のノートにメモ書きを残しました。6月25日でした。

その直後、九州南部では恐ろしいほどの大雨となり、やむなくアトリエの窓にもシャッターをおろしました。

数日後大雨が一段落して、そおっとシャッターを開けましたが。その時、鳥たちはもういませんでした。雨が止むのと同時に、巣立ったようでした。

 

小鳥たちの巣立ちに少し寂しさを感じつつ、猫たちと私の特別な<今年の春>が終わりました。

もうすぐ、夏です。」

 

今回も、しばらく前から毎朝ベランダのあたりでしきりに鳥の鳴き声がしていました。猫たちが何か用事ありげに、2階のアトリエに通うところも一緒でした。

それでも、<まさかねえ・・・>と半信半疑だったのですが。先日机にむかっていると、後ろでバタバタと音がします。気づかれないようにそっと外をのぞいてみると、エサをくわえた親鳥が、やはりアンテナに一度止まり、そこから上の巣へと飛びました。2年前よりも小さく、モズを少し細くしたような姿でした。

種類は違うけれど<また鳥が来てくれた!>

気のめいるようなニュースが多いなか、ふあっと心のどこかが明かるくなりました。

このひそかな喜びは<同じ空間に、人間とはちがう生き物が、平穏に暮らしているよ>という鳥からの贈り物のような気がします。

きっとあとひと月もすれば、子供たちも飛び立ってゆくのでしょうが。それまでは今年も、私と猫の楽しみの日々が続きます。



私の絵画館:てんちゃんとつゆちゃんとネモフィラ(2019年4月20日)

「続モンド通信17」(2019年4月20日)

私の絵画館:「てんちゃんとつゆちゃんとネモフィラ」(小島けい)

 このところ、先の見えない毎日が続いておりますが、皆様いかがおすごしでしょうか。そして、犬ちゃんや猫ちゃんたちも、みんな元気ですか。

こちらは(正確には実情はわからないままに)全般的には、ゆるーい感じで時間が流れています。

それでも一応は、公民館でのジャズダンスの教室はお休みとなり、私は運動のため毎週のように牧場に通っています。

自転車で片道一時間。牧場で一鞍(約30分)乗って、帰りはまた自転車で一時間。なかなかの運動量です。けれど、牧場で馬・犬・猫・山羊たちに会い、帰りの田んぼ道できんぽうげやアザミを摘んで帰る。この普段通りのなにげない時間が、今の私には、ひとしお大切なひと時になっています。

これからどのようになってゆくかは全くわかりませんが。皆様と元気にお会いできる日を心待ちに、できる限り穏やかな気持ちで、絵を描き続けてゆけたら…と思っております。

てんちゃんとつゆちゃんとネモフィラ

2008年4月24日、元のら猫のアリスは家で5匹の子供を産みました。

アリス(パステル)

その中で一、二を争う美人猫が、当初さやちゃんMちゃんと呼んでいた猫たちでした。

この二匹は後に優しいご家族と出逢い、今も楽しく元気にすごしています。

毎年、年賀状で様子を知らせて下さっていましたが。本当に有り難いご縁で、感謝の気持ちを改めてお伝えしたいと、昨年二匹の絵をかかせていただきました。

美しい猫たちですので、やはり美しい花と一緒に描きたい!と思い、淡いブルーの<ネモフィラ>を選びました。

それがこの絵です。

昨年末絵をお送りしたところ、しばらくたって<ずいぶんとお礼が遅くなりましたが・・・・>と、かわいいミニアルバムが届きました。

そこには、てんちゃん(さやちゃん)とつゆちゃん(Mちゃん)の他に、同居しているまめちゃんとチーちゃんの写真もありました。残念なことに、唯一の男の子だったまめちゃんは<昨年天国に旅立ってしまいました>とありましたが、4匹とご家族のほほえましい日常のお写真が、絶妙なコメントとともに飾られていました。

このような素敵で心のこもったアルバムを作るには、ずいぶんの手間と時間がかかっただろうと思われました。

アルバムを何度も見なおしながら、二匹の絵をほんとうに喜んでいただけたのだなあと実感し、いつものことですが、仕上げるまでの大変さがすうっと後ろに遠ざかってゆきました。

アリス(水彩)



2019年のカレンダー

2019年用のカレンダーです ↓

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