つれづれに:「アフリカシリーズ」(2022年7月15日)

2022年7月14日つれづれに

HP→「ノアと三太」にも載せてあります。

つれづれに:「アフリカシリーズ」

 「黒人研究の会」(6月29日)の月例会ではアフリカとアフリカ系アメリカの発表が半々だった。ときたま『アメリカ黒人の歴史』(↓)の著者本田さんのような大物が来ることもあった。大概は学会に招待されたり個人的な所用などで神戸か大阪に来たついで発表してくれていたようである。1983年の飢餓キャンペーンか何かでどこかの大学に招待されたセネガルの詩人センベーヌ・ウスマンさんが来たこともあった。まだアフリカに馴染がなかったので、どの程度の人か知らなかったが世界的に著名な詩人らしかった。誰かが「日本に何か出来ることがありますか?」と聞いたとき、「何もしないことが一番です。何かしてもらって、今まで碌なことがなかったわけですから。アフリカのことはアフリカでやりますから、放っておいてもらえると有難いです」と答えていた。その時はよく意味がわからなかったが、アフリカの歴史を辿るようになってこの500年ほどの間にアングロ・サクソン系を中心に西欧諸国のやってきたことを知るにつれて、ウスマンさんの真意がわかるようになった。肌の色は同じでも西洋と組んで生き延び、富と権力に溺れる似非アフリカ人でなければ、ウスマンさんと同じように考えているはずである。

 ちょうどその頃に大阪工大のLL教室の補助員にダビングしてもらった「アフリカ・シリーズ」の映像は何よりだった。先輩が録画したものの孫テープで映像は鮮明ではないが、とても貴重なものである。「ハーレム」(6月24日)の本屋さん(↓)で手に入れた著書The Struggle for Africaと併せて、アフリカ史をみて行く上での指針になっている。

 「アフリカシリーズ」(1983)はNHKの45分8回シリーズで、元タイムズ記者バズル・デヴィドスン(Basil Davidson、最初の写真)のドキュメンタリーを編集し、日本語で放送された番組である。The Struggle for Africa(1982)もどちらも1980年代前半に出たもので、第二次世界大戦後好き勝手をし続けたアメリカの一人舞台が崩れ始めた時期に呼応する。それまでのアメリカ中心の制度では回らなくなったということのようである。「アフリカシリーズ」が500年の横暴側の筆頭イギリス人の内側からの内部告発、「先進国」の経済的譲歩を提起しのアフリカ再評価のすすめといったところか。前半でヨーロッパ侵略以前のアフリカ大陸の紹介、後半は奴隷貿易→アフリカ分割・植民地支配→第二次世界大戦後再構築された多国籍企業による経済支配を映像で浮き彫りにしている。

 8回は「第1回 最初の光 ナイルの谷」、「第2回 大陸に生きる」、「第3回 王と都市」、「第4回 黄金の交易路」、「第5回 侵略される大陸」、「第6回植民地化への争い」、「第7回 沸き上がる独立運動↓」、「最終回 植民地支配の残したもの」で、アフリカを知らない人でも興味をそそられる内容である。アフリカは国策をもろに受けて最も遠い大陸だから資料も限られるし、その中でものを考え、判断するのは極めて困難な状況だから、その点でもとても貴重な歴史的宝物である。
 次は、「ウィアーザワールド」、か。