つれづれに:春の花2(2022年8月31日)

つれづれに

HP→「ノアと三太」にも載せてあります。

つれづれに:春の花2

 「ほぼ初めての春の花」 の続きで、春の花2である。春は花が多すぎて、1回では書き切れない。今回は普段よく見かけていた花をいくつかである。彼岸花(↑)、すみれ、たんぽぽ、桜、むべ、あけび、チューリップ、イリス(↓)、けし、つつじ、ぼたん、紫木蓮、白木蓮、紫陽花、実に多彩である。ほとんどの花を描いてもらった。本の表紙やカレンダーにもたくさん残っている。イリスと牡丹は庭にも植えている。

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すみれ、たんぽぽは春先の定番である。都市部に比べてたくさん咲いている分だけ、やはりよく見かける。大振りの紫色のすみれも堤防にはたくさん咲いている。彼岸前には彼岸花(↓)の芽を出し始める。しばらくすると大きな花が咲く。散歩の途中の墓の周りは彼岸花だらけである。山頭火(→「 なんで山頭火?」、→「山頭火の生涯」)の句の中でも「移りきて お彼岸花の はなざかり」が一番好きだ。

 死にきれず得度したあとしばらく堂守をしていたが、も収まり切れずに行乞の旅に出た。歩いても歩いても、果てのない旅である。日記が重くなって頭陀袋に背負いきれなくなると飯塚の炭鉱医木村緑平(↓)のもとに送り届けている。それが大山澄太の手に渡り、編集された。(→「つれづれに:山頭火の世界④ー防府②」(2021年10月28日))今山頭火の句や日記が読めるのも二人の句友のお陰である。雑誌「層雲」で知り合っただけである。彼岸花の句は、定住を決めて借りた百姓家を其中庵と名づけて、丹生庵した時に詠んだ句で、「其中日記」の初め辺りにある。束の間でも、やっとほっとした、そんな息遣いが聞こえてくる。

 桜(↓)はありふれたどこにでも咲いている花だが、花をみるとやっぱいい。色あいが儚げだ。はらはらと散る。描いてもらうために、ずいぶんと色んなところで蕾のついた枝をもらった。鋏をいれる前に、毎回「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉が浮かんだ。ごめんなさい。絵になって、装画にもカレンダーにも残っている。梅と桜の絵やカレンダーが、やはり一番多い。

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遠藤康『さくら殺人事件』(1994/8/4)

 春先に郁子(むべ、↓)や通草(あけび)の花をみかけるようになった。よく見るといろんなところに咲いている。地味で小粒だが、勢いがあるときはなかなかである。色あいもいい。花はよく似ているが郁子は臙脂がかっていて、通草は紫がかっている。それぞれの実の色である。妻がてかてかしているので郁子の実は好きでないようだが、通草は探し回った。大学に来た頃はまだ運動場があって、ラグビーやサッカーや野球をやっていた。高いフェンスで囲われていたが、そのフェンスに通草がなっていた。医大から旧宮大に非常勤で出かけるときにも両脇の繁みで通草を見つけた。そのうちの何本かを持って帰って玄関脇の花壇に植えて、何年かしたらほんとにきれいなあけびがなった。カーポートの下に針金を編んではわせていたからだ。台風でも傷がつかずに格好の場所だ、と思っていた。ある日、首筋に何かがぽとりと落ちた。毛虫である。葉と同じ色の毛の多い成虫である。幸い嚙まれなかったが、処分するしかなかった。毎日自転車の出し入れをする。蔓植物はあるひ突然なくなる運命にある。巻いた本体による。大学の運動場も統合でなくなってしまったし、旧宮大へ行く途中の繁みでも、根元をはつられてしまった。
 次は、春の花3、か。

「私の散歩道2010~犬・猫・ときどき馬」3月(企業採用分)