1976~89年の執筆物

解説

高校教師5年目、4回生を3年間担任して一回り、7回生で2回り目に入りました。学年主任も同じ学年の人たちにも馴染めず、たえず腹を立てていたように思います。「教える」とか「指導する」とかを微塵も疑わない教員には、お前らが何を教えるねん、お前らが何が指導やねんと憤り、何をしても中途半端に思える生徒にはするんやったらちゃんとやれよと腹を立て、うちの子に勉強するように言って下さいという保護者には、冗談やないやろと呆れ返り、ずーっとそんな日が続いていたように思います。

久し振りに Wright の Black Power を開いたら目がちかちかして、このままでは死ぬより酷い状態になってしまうと感じ、高校を辞める決心をしました。

結局は、高校に在籍のまま教員再養成の大学院に行くことを決めました。

その学年にいた「淳ちゃん」とは、クラブのバスケットでも一年しかいっしょに付き合えませんでしたが、卒業後、家に訪ねてくるようになりました。宮崎への引っ越しを手伝ってくれ、引っ越しの日には見送りにも来てくれました。宮崎に来てからも、「鹿児島のおばあちゃん」の家から遊びに来てくれました。

しかし、ある日、相談もなく、手の届かないところに逝ってしまいました。

「貧しさの ゆゑにぞ寒き 冬の風」

ドングリの実表紙

兵庫県立東播磨高等学校第7期生文集

「どんぐりの実」(1981年)4ペイジ

本文

貧しさの ゆゑにぞ寒き 冬の風     我鬼子

身にしみる冬の風です。何をやっても、自分の無能さが、思はれます。三十までに、これだけはやりたいと思って居たことのかけらも出来ずに、それぢゃ、死ぬまでにと、自分をなぐさめてみても、それもだうか、わかりません。

執筆年

1981年

収録・公開

兵庫県立東播磨高等学校第7期生文集「どんぐりの実」 4ペイジ

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貧しさの ゆゑにぞ寒き 冬の風(52KB)

1976~89年の執筆物

概要

「リチャード・ライト作『地下にひそむ男』―出版の経緯に触れてー」でテーマや視点に焦点をあてて書いた作品論を、今回はテーマや視点に、表現をからめて考えてみました。英語を母国語とするライトが、言葉に対してここで分析するように感じていたかどうかはわかりませんが、少なくとも読み手にはそう感じられるほど、ライトの表現力や文章の持つ力は、僕には圧倒的でした。少しでもそういった表現力をからめた視点からライトの作品を評価してみたいと思ったのが書いた動機です。

擬声語に関しての引用は、都合のいいところだけ使ったように思います。決して数字に裏付けされたものではなく、語感や字感など、感性的に述べたきらいがあります。擬声語に対するこだわりは、やがて、南アフリカの作家アレックス・ラ・グーマの作品を読む際にも役立つことになります。

言語表現研究は、修士号を取った兵庫教育大学大学院の学生と教官ではじめた国語・英語の共同学会で、今は学部生も加わっているようです。

「言語表現研究」 2号 1-14ペイジ

本文

Richard Wright (1908-1960) の中編小説 “The Man Who Lived Underground” に於ける幾つかの場面で用いられた擬声語表現を分析、鑑賞することにより、この<地下作品>の評価をはかりたいというのが本論のねらいである。尚、ここで用いる擬声語 (Onomatopoeia, echo-words) とは、自然音そのままではなくそれを模したarticulate soundsを指し1、本論ではO.E.D. に於いて [Imitative.] の表記がある語を中心に取り上げるものとする。

1944年にCross-Section誌に収載されたこの作品は、死後出版されたEight Menの中にも再録されているが、1956年には既に、ハックスリー、トルストイ、モーパッサン、サロヤンの小説と並んでQuintet – 5 of the World’s Greatest Short Novels の中に取りとげられる程の評価を得ている。1973年にM. Fabreによって伝記The Unfinished Quest of Richard Wright が出版されてからは、この小説が従来の人種問題を中心にしたテーマを一歩踏み越えようとした最初の作品として、或いは、後続の黒人作家エリスン (Ralph Ellison, 1914- ) 等に少なからず影響を及ぼした作品として、頓に再評価されるようになってきた。それらの評価は、作品中に提示された人種問題の枠を越えた、より広い、より深いテーマの重みや、主人公の<地下生活>を通して、人種によって差別された黒人こそが日常性の中で見失いがちな物事の本質に、いち早く気付き得る有利な地点に、装っているのだと暗に仄めかしたライトの視点の鋭さに負うところが大きい。現に殆んどの批評家がテーマや視点に対する評価に終始している。しかし、私達はそれらのテーマの重みや視点の鋭さが、実は作者の言葉による表現によって裏打ちされていることを見逃してはいないだろうか。又、ある囚人の実話に基づいて書かれた探偵小説からヒントを得たライトが2、自らの想像力や視点に従ってストーリーを虚構したように、ライト自らが選択した言葉によってその表現が生み出されたことを見過ごしてはいないだろうか。ストーリー自体は、無実の罪を押し着せられた主人公が偶然逃げ込んだ下水溝での体験を経た後、警察に自首して出るのであるが、その時には既に真犯人は捕えられており、逆に警官に気狂い扱いされた挙旬、結局は元の下水溝に葬り去られてしまうという割り切れない感じのするものである。にもかかわらず、作品が読者を終始引き付けて止まないのは、主人公が相手に気づかれない有利な立場から垣間見る様々の「現実の裏面」のスリリングな展開に支えられていることにもよるが、音や色に関する鮮やかな表現、分詞構文や中間話法を用いた簡潔な表現、夢の箇所に於ける句読点抜きの表現等、数々の表現技巧に負うところが大きいことを忘れてはならない。それらを念頭に置いた上で、本論では、工夫された表現技法のうち、以下の3つの場面で用いられた擬声語表現を取り上げ、分析、鑑賞してみたいと思う。(1) 主人公が官憲からの逃亡中に、マンホールの蓋が下水に吹き上げられる異様な光景を見て地下に潜む妙案を思いつき、首尾よく下水溝に降り立つ場面……<地下世界へ> (2) 艦人公が地下での数奇な体験を経た後、地上の人々に自らの発見を語るために、同じマンホールから再び地上に戻る場面……<再び地上世界へ> (3) 自らの地下体験を証明する為に警官達をマンホールに案内するが、警官の一人によって下水溝に葬り去られてしまう場面……<再び地下世界へ>

3つの場面を敢えて取り上げるのは、そこに擬声語表現が普通以上に多く、或いは効果的に用いられているからであるが、それ以上に、3つの場面に共通して、マンホールの蓋によって発せられた音が含まれており、その音が主調音の如く作品全体に響き渡っているように思われるからである。尚、その音は作品中4度用いられている- (1) の場面で2度 (1度は名詞の “clang”、もう1度は動詞の “clang”)、 (2) の場面で1度 (名詞の “clang”)、(3) の場面で1度 (名詞の “clank”)。マンホールの蓋に、或いはその音を表現した語 “clang,” “clank” にこだわるのは、その蓋が虚偽、死臭に満ちた地上世界と、日常では気付き得なかった新しい自己を再発見するきっかけになった地下世界を隔てる役目をしているだけでなく、主テーマに係わる何か重要な象徴的意味合いを示唆しており、その音がその象徴的意味合いを聴覚によって鮮やかに読者の耳に印象づける役割を果たしていると考えられるからである。以下、 “clang,” “clank” を軸にしながら3つの場面を見ていきたいと思う。

<地下世界へ>主人公と思しき男がある玄関先に潜んでいる時、パトカーのサイレンが鳴った。男が「隠れなくては……」と思った時、路上の異様な光景が彼の目に飛び込んで来た。それに続く件が次のように書かれている。

…Then a sudden movement in the street caught his attention. A throng of tiny columns of water snaked into the air from the perforations of a manhole cover. The columns stopped abruptly, as though the perforations had become clogged; a grey spout of sewer water jutted up from underground and lifted the circular metal cover, juggled it for a moment, then let it fall with a clang.

He hatched a tentative plan: he would wait until the siren sounded far off, then he would go out….3

下水に押し上げられたマンホールの蓋は、雨に濡れた路上に勢いよく音を立てて落ちたのだが、作者はその音を “clang” で表現したのである。いや、厳密に言えば、 “clang” で表現される場面を設定したという方が正しいのかも知れない。いずれにしろ、マンホールの蓋と道路間の接触音が “clang” で表現されたわけだが、まずその語について検討してみたい。O.E.D. によれば “clang” は次のように解説されている。

Clang (klAN), sb.

  1. A loud resonant ringing sound; orig., as in Latin, that of a trumpet, and so still in literary use; but now, most characteristically, the ringing sound of metal when struck, as in 'the clang of arms’; sometimes also the sound of a large bell.(下線は筆者)

下線部が示すように “clang” によって示される音の特徴の1つは、その音が大きい、騒々しいということである。Otto Jespersen は “Sound Symbolism” のMovementの項でl-combinationで始まる言葉の多くが “loud sound” を示す特徴があることを指摘しているが4、このcl- [kl] に、もう少し分析的解釈を加えてみたい。破裂音 (Plosives) は「吹き鳴らされた音や打ち鳴らされた音、或は物の衝突・摩擦等による音を表はす場合が多」5く、そのうち k [k] を含む無声音は「概ね澄んだ軽快な音色」を示す。又、l [l] を含む流音 (Liquids) は「耳に感ずるところ楽音的・諧音的」であり、「積極的には静止に逆ふ動揺・流動・飛翔等の運動を、消極的には粘滑の感を表出」する。つまり、その2つの組み合わせcl- [kl] は、この場合、下水に吹き上げられたマンホールの蓋が道路上に落ちた際に発した澄んだ軽快な金属音を表わしたことになる。次に語尾の -ng [N] について少し検討を加えたい。鼻音 (Nasals) は継続的な感じを示すが、中でも特に [N] は物の響きに関して見い出され「轟く餘音を表はすに適切」である。cl- が示す音の特徴が大きいという点にあれば、この -ng の示す音の特徴は響く余音という点にある。以上のことを総合すると、“clang”の一語はマンホールの蓋が道路に落ちた際に澄んだ大きな金属音を発したことと同時に、その音が軽快に余音を残しながら響いたことを示したことになる。裏を返せば、作者は大きさと響く余音を象徴する “clang” をこの冒頭の場面に持って来たわけだが、その音によって作者は一体どんな効果をねらったのか。或いは、何故その音を持ち出したのか。そのあたりの情況を詳しく知る為に本文に立ち戻ることにしよう。庭先に潜む男がパトカーの音に驚いたことは既に少し述べたが、冒頭から、男が路上の異様な光景に気付くまでの本文は以下のようになっている。

I’ve got to hide, he told himself. His chest heaved as he waited crouching in a dark corner of the vestibule. He was tired of running and dodging. Either he had to find a place to hide, or had to surrender. A police car swished by through the rain, its siren rising sharply. They’re looking for me all over…. He crept to the door and squinted through the fogged plate-glass. He stiffened as the siren rose and died in the distance. Yes, he had to hide, but where? He gritted his teeth. Then a sudden movement… (58)

本文からは男の姓名も素性もわからないが、その男が警察に追われて逃げていること、そして逃げ回ることにもう辟易して、隠れ場所が見つからなければ自首をするしかないと考えながら潜んでいることがわかる。又、パトカーのサイレンの音を聞いて「奴らが俺を探し回っている」と考えて、とっさに動き出したり、そのサイレンの音に体を強張らせたり、或いはパトカーの音で「隠れなければ……」と動き出したりしたことにより、その男がどこへ逃げたらよいのかわからない荷立ちから歯ぎしりをする程追いつめられている様子が窺える。今し方汚水の噴き出した下水溝に逃れることを思い付き、敢えてパトカーが頻繁に行き交う道路に出て、その計画を実行したことを考え合わせれば、如何に男が追いつめられていたかは充分に想像がつく。男がそれ程までに追いつめられていたからこそ、又あせりを感じ、苛立ちを覚えていたからこそ、マンホールの蓋がそのあせりや苛立ちを瞬時忘れさせる程大きい “clang” の音でなくてはならなかったのである。或いは又、男がもうどこにも逃げ場がないと考える程追いつめられた極限に近い状態にいたからこそ、マンホールの蓋の音があたかも男を地下に誘っていると錯覚してもおかしくない程、響く余音を “clang” に持たせる必要があったのである。事実、作者は動詞を用いないで名詞を持ち出し “with a clang” と文尾に “clang” を置いている。“clang” を文尾に置くことでその響きに余音の効果を持たせようとしている。又、その “clang” で文を切り、行を改めたのも、一呼吸置くことによってその余音の効果をより高めようとしたためではなかったか。この“clang” に関しては、もう一つ見逃せない作者の工夫がある。それはパトカーの音を表わした “swish” との対照的な組み合わせである。その音が男のあせりを誘ったことは既に述べたが、ここでその音について考えたい。O.E.D. によれば “swish” は次の如く記されている。

Swish (swiS), int. or adv. and sb. 1 [Imitative.]

  1. int. or adv. Expressive of the sound made by the kind of movement defined in B. 1; with a swish. Also reduplicated swish, swish.

B.sb.

  1. A hissing sound like that produced by a switch or similar slender object moved rapidly through the air or an object moving swiftly in contact with water; movement accompanied by such sound.

Swish (swiS), v. [Imitative. Cf. prec]

  1. intr. To move with a swish (see prec. B. 1); to make the sound expressed by ‘swish.’ (下線は筆者)

下線に示されたように “swish” の音の特徴の一つはその動きがすばやいことである。この場合、パトカーが疾走したからこそ男のあせりを誘ったと言える。逆に言えば、男のあせりを誘う為に、この場面でパトカーを疾走させたとも言えるだろう。もう少し分析的解釈を試みたい。s, shを含む摩擦音 (Fricatives) は「物の軋み・衝突・摩擦等によって発せられる音を写すに適してゐる」が、この s [s], sh [S] の両音は路上を走るパトカーのタイヤと雨に濡れた道路間に生じる摩擦音シュ、或いはシュッという音を写している。又、母音が象徴する形状の大小、明暗の度、距離の遠近等については「小 (明・近) から大 (暗・遠) に向ふ順序は [c] [o] [u] の序列は別として…… [i] [e] [ε] [A] [a] [u] [o] [c] (又は……[a:] [c:] [u:])」であり、その中でも特に[i] [i:]は微小・鋭敏・急速等を象徴する。更にswi- (スウィッ) の音は、日本語のヒョッ、ニュッ等に似て、「出し抜けに生じる」変化を感じさせる。それらを総合すると “swish” の一語はswi- でバトカーの音が出し抜けに聞こえたことを、[i] でその音が近くで、速く、鋭く響いたことを、[s], [∫] で雨の降る道路を疾走するパトカーのタイヤと道路間の摩擦音を同時に言い当てたことになる。パトカーが速く走れば、その音の聞こえる時間が短いのは当たり前だが、その時間の短さが、実は“clang” と対照的なのである。又、大きく余音を残したことを “clang” が示すのだからその音が長く聞こえたのは当然だが、パトカーの音の短さがよけいに “clang” の響く余音に効果を与えているのである。これに似た組み合わせがこの小説の最後の場面にも出てくるのだが (“clank” と “swish”)、前作Native Son の冒頭にもこの組み合わせが用いられているのは一見の価値がある。本文を掲げてみる。

Brrrrrrriiiiiiiiiiiiiiiiiiiiinng!

An alarm clock clanged in the dark and silent room. A bed spring creaked. A woman’s voice sang out impatiently:

‘Bigger, shut that thing off!’

A surly grunt sounded above the tinny ring of metal. Naked feet swished dryly across the planks in the wooden floor and the clang ceased abruptly.6

目覚まし時計の鳴る動作を動詞 “clang” で、その音を名詞 “clang” で言い換えたわけだが、その音の大きさ、けたたましさは少年が時計を止める為に素早く走った際に発せられた“swish” の鋭い、短い音との対照的な使い方によって倍加されている。

以上のように考えると、この “clang” が主人公を地下世界へ誘う響きであると同時に、主テーマ<地下>の物語の実質上の幕開けのかねの音 (金属音) を象徴していると思えてくるのである。

地下に逃れる妙案を思い付いた男は機を窺ってマンホールに近づく。その時、又パトカーのサイレンの音が聞こえて、まるでそのサイレンの音にせかされているかのように慌てて取手伝いに下水の中に降り立つ。それからブレーキの音がして見上げるマンホールに白い顔が見えた。続く件が次のように描かれている。

‘How did this damn thing get off?’ he heard a policeman asked. He saw the steel cover move slowly until the whole looked like a quarter moon turned black. ‘Give me a hand here,’ someone asked. The cover clanged into place, muffling the sights and sounds of the upper world. (59)

マンホールの蓋が元の位置に戻される動作に伴なって発せられた音が、やはり人きく余音を残して響いたわけだが、先の名詞 “clang” と響き方が微妙に異なるように思われる。その理由は2つ。一つは、男が音を聞いた場所が前回は地上であったのに対し、今回はマンホールの中であったこと、もう1つは、前回はマンホールの蓋が下水によって噴き上げられてそれが落ちる際に発した音であったのに対し、今回は警官によって蓋が元の位置に戻される動作中に発せられた音だったことである。会話から察するに、警官の1人が、おそらく蓋を見ながら、こ奴 (“this damn thing”) と忌々しげに言いながら、蓋を元の位置に収めたに違いない。敢えて “clang” を動詞で用いたのはその動詞を強調したかったからであろう。その忌々しさが余音となったわけで、下水の中でその音を聞いた男の耳には、マンホールによるエコーとその忌々しさの余音が重なって響いたのではなかったか。先の“clang” が地下への誘いの響きであるとすれば、この “clang” の動作に伴なった音は、地下生活の始まりのかねの響きを持っていたと言える。その響きが、彼を地下に追いやる原因となった警官によるものであったとは何とも皮肉なことなのではあるが。

先に、パトカーの発した “swish” の音で男があせりを誘われたと書いたが、男を地下世界に急かせたのは、やはりパトカーのサイレンの音であった。その辺を検討してみたい、男がマンホールを覗いた時、パトカーのサイレンの音が聞こえて来たが、その音については本文では “The siren seemed to hoot directly above him” と描かれている。その音が“hoot” と聞こえるように思えたことを示しているわけだが、この “hoot" は先に記したように、母音の中では最も暗くて、遠くて、大きなものを象徴する [u:] と瞬間的なものを表わすのに適した破裂音 [t] の組み合わさったもので、[u:] によってそのサイレンが暗闇の遠くからだんだんと大きくなりながら男に迫って来る感じを、[t] によってその音が男の耳に瞬間的に鋭く響いた感じを示している。その音には、行動を始めたが、尚、意を決し兼ねる主人公に行動開始を急き立てる鋭さが感じられる。興味深いのは、この “hoot” [hu:t] が先の “swish” [swiS] と、high back vowel [u:]とhigh front vowel [i]とで著しい対比をなしていることである。近くで鋭く響いた [swiS] と遠くの暗闇から大きく迫って来た [hu:t] の響きによって男があたかも遠近・大小・緩急にわたって脅かされているかの錯覚にさえ陥るのである。

結局、その “hoot” と聞こえたサイレンの音に急かされるようにして、男はとっさにマンホールの縁に手をかけ、中に入って行くわけだが、中に入った時、サイレンの音が、又違った風に聞こえて来た。本文では “・・・the siren seemed to howl at the very rim of the manhole." となっている。“hoot” [hu:t] が “howl” [haul] に変わったわけだが、通常なら “animate” なものに使用されるはずの “howl” が擬人的に “inanimate” なパトカーのサイレンの音を表現するのに用いられている。あたかもマンホールの縁で、逃げる主人公に追手の犬が低い唸り声をあげて今にも飛びかかろうとしている感さえ抱かせる。追われる立場にいる主人公の心理状態を象徴する “howl” の使い方である。

唸るように響くサイレンの音に急きたてられたかのように、取手から両手を離した男は、下水の烈しい流れに足を掬われ壁に頭を打ちつける。壁の裂け目に指を立て、必死の思いで立ち上がり、辛うじて彼は事無きを得るが、その時、今度は車の止まる音が聞こえて来た。それが本文では “He heard a prolonged scream of brakes and the siren broke off. Oh,God! They had found him!” (59) と書かれている。そのブレーキの音 “scream” はscr- [skr] によってタィヤと道路間の摩擦とその動きを、[i:] によってその音が近くで短く響いたことを、更に鼻音m [m] によってその音が継続的な余音を残して響いたことを示している。マンホールの蓋が道路上に吹き飛ばされているのを目撃した警官が慌てて急ブレーキを踏んだのであろう。車はタイヤから烈しい軋り音を立てて鋭く余音を残しながら急停止した。そんな情景をこの一語 “scream” が的確に写したことになる。それから先述の如く警官によって蓋が閉められるのたが、蓋によって地上と遮断された彼の耳には、地上からの音が今までとはまるで違った風に聞こえて来た。その様子が以下のように書かれている。

… His lips parted as a car swept past along the wet pavement overhead, its heavy rumble soon dying out, like the hum of a plane speeding through a dense cloud. He had never thought that cars could sound like that; everything seemed strange and unreal under here. He stood in darkness for a long time, knee-deep in rustling water, musing. (59)

車の響きを表現した “rumble” は2つの流音 [r] [l] によって流動する感じを、有声破裂音 [b] でタイヤと道路間の摩擦で生じた濁った噪音を、更に鼻音 [m] で継続的な余音を一語で表わしており、それを雲間に轟く飛行機の音 [hVm] に譬えたのである。逆に言えば、雲間に轟く飛行機の音にまがう程、地下の流れに立つ主人公の耳には地上の音が異常な躁音に聞こえたということである。これまでの “swish,” “hoot,” “howl,” “scream” が総て澄んだ無声音で表わされたのとは極めて対照的である。つまり金属板一枚の隔たりを直接音・間接音の違いで表現し分けたのである。そればかりか、2つの流音を含む “rumble” と “rustle” は有声音 [rVmbl]・無声音 [rVsl] の対立をなして、遠くで鈍く聞こえる車の音、近くではっきり聞こえる下水の音という遠近感を抱かせる。“swish” と “clang” の組み合わせが “clang” の響きに効果を与えたように、“rumble” と “rustle” の組み合わせは、地上の濁った噪音、地下の澄んだ快音という響きに、より効果を与えている。マンホールをはじめて覗いた時の場面が “…He went to the center of the street and stooped and peered into the hole, but could see nothing. Water rustled in the black depths. ” (58) と記されているが、今回も又、前回と同じように表現された下水の流れ “rustle” は、めまぐるしく変化して表現された “swish,” “hoot,” “howl,” “scream,” “rumble” という一連のパトカーの音と変化・不変化、或いは動と静という著しい対比を見せていることに気付くとき、人間の地上世界の喧噪がますます鈍く、濁ったものに思えて来る。そしてマンホールの蓋によって地上世界と遮断された地下世界の静寂が主人公の五感を把えるとき、読者は<地下世界>にひき込まれて行く自分に気付くのである。尚、先に少し触れたのではあるが、“clang,” “rustle” の両語共、変化して表現されたパトカーの音の間に2語ずつさしはさまれただけでなく “clang” は名詞と動詞に、“rustle” は動詞と形容詞にそれぞれ使い分けられているのも見逃せない作者の工夫ではなかろうか。

<再び地上世界へ>地下の下水溝を通じて、相手に気づかれない有利な地点から地上世界の現実の裏面を垣間見る中で、男は自らの本当の姿に気付く。様々な体験を通して得た新しい発見を地上世界の人々に告げたいという衝動にかられた主人公は、もう一度地上に戻る決意をして、同じマンホールのところまで戻って来る。取手伝いに入口まで辿り着き肩で少し蓋を押し開く。それに続く場面は次のごとくである。

…A crash of sound came to him as he looked into a hot glare of sunshine through which blurred shapes moved….A heavy car rumbled past overhead, jarring the pavement, warning him to stay in his world of dark light, knocking the cover back into place with an imperious clang. (88-89)

今までの静かな地下の様子とは極めて対照的な “crash” である。O.E.D.によると “crash” は次のように解説されている。

Crash (krA∫), sb1 [f. CRASH  v.]

  1. The loud and sudden sound as of a hard body or number of bodies broken by violent percussion, as by being dashed to the ground or against each other; also transferred to the sound of thunder, loud music, etc. (It is often impossible to separate the sound from the action as exemplified in sense 2.)
  2. The breaking to pieces of any heavy hard body or bodies by violent percussion; the shock of such bodies striking and smashing each other. (下線は筆者)

下線部が示すように、特徴はその音が大きく、突然響くことである。この場合、破裂音c [k] と摩擦音sh [∫] には、今までの静寂を一撃で打ち破る瞬間的な、大きな響きが含まれている。突然の轟音に圧倒されて、彼は一旦下水に叩き落されるのだが、その時男の耳に人って来た地上の音は、やはり金属板一枚隔てた間接音、つまり有声音を含む [rVmbl] と [dJa:] で表現されている。やはりO.E.D. によれば、“jar” の音の特徴の一つは “harsh”或いは “inharmonious” であるから、地上の音が地下の静けさとは対照的な濁った噪音であったことがわかる。その意味では、この “crash” は特に地上と地下の音の違いをはっきりさせる役目も果たしていたことになる。“crash” の音が如何に凄まじかったかは、3度目の “clang” が一度目の時と同様に “with” を伴なった名詞の形で文尾に置かれていることからも窺える。下水に叩きつけられた主人公には、頭上から響く金属音が、再び地上に戻る決心をした彼への地上世界からの尊大な (“imperious”) 警告の鐘のように響いたに違いない。

<再び地下世界へ>結局、主人公はうまく地上に戻るのだが、皮肉にも、自らの体験を証明する為に、こともあろうに自分を地下に追い遣ったと同じ警官達を連れて、又、同じマンホールの所へ戻って来る。そして警官のうちの一人の手にする銃に撃たれて、塵芥の如く社会の排泄溝である下水溝に葬り去られてしまう。その最後近くの光景が以下のように描かれている。

As though in a deep dream, he heard a metallic clank; they had replaced the manhole cover, shutting out forever the sound of wind and rain. From overhead came the muffled roar of a powerful motor and the swish of a speeding car. (102)

先に3度用いられた蓋の昔が総て、何らかの余音を残し、それぞれ何か大切なものを象徴する -ng [N] を語尾に持つ “clang” であったのに対し、この蓋の音は「突然的で後に響を残さぬ瞬間的な」感じを示す破裂音を含む –nk [Nk] を語尾に持つ “clank” である。cl- からその音が大きかったことが考えられるが、その大きな金属音かどうしてマンホール内で余音を残して響かなかったのか。それは、警官が蓋をそっと置いたからである。2度目の “clang” の場面では警官は忌々しげに蓋を閉めたと思われるのに、なぜ今回はそっと蓋を置いたのか。おそらくそれは警官の感じた後めたさの故であろう。既に真犯人を捕えていた警官達にとって、自首して来た男は、もはや必要ではなかったばかりか、拷問の末告白書にサインさせたことをばらされるかも知れない厄介者でしかなかったのである。「地下」のことを口走る男を消す為に、マンホールの所までついては来たが、いざ葬り去ってみると後ろめたさが残る。同僚の何故やったのかの質問に “I had to.” とか “You’ve got to shoot his kind, They’d wreck things.” とかの官憲の御都合主義を振りかざしてみても、やっぱり後ろめたさが残る。だからこそ、人には気付かれないようにと、そっと「くさいもの」に蓋をしたのである。

最後に地上の音を表わした “roar” と “swish” について一考したい。O.E.D.の “roar” の項には以下の説明が付されている。

Roar (rōəɹ), sb. 1

  1. A full, deep, prolonged cry uttered by a lion or other large beast; a loud and deep sound uttered by one or more persons, esp. as an expression of pain or anger.
  2. transf. The loud sound of cannon, thunder, a storm, the sea, or other inanimate agents.

“Roar" の特徴の一つは、その音が大きいということである。対語的に用いられた小さな鋭い “swish" がその大きさを倍加している。塵芥の如く下水に流し去られる男の耳に、大きな “roar" と小さな “swish" が交錯して聞こえたのであろうが、薄れ行く意識の中では、"swish" の音でその効果を倍加された “roar" は、O.E.D. の1の項が示すように、まるで誰かが苦しみか怒りの為に叫び声をあげているように聞こえたかも知れない。鋭い “swish" の一語は、冒頭の場面での “swish," “clang" の組み合わせでもそうであったように、"clank" の大きな音を一層引き立たせている。1度目の “clang" が地下への誘いの響きを、2度目の “clang" が地下生活の始まりの響きを、3度目の “clang" が地上世界からの警鐘の響きをそれぞれ感じさせるとすれば、余音を響かせなかった瞬間的、刹那的なこの"clank" には、やはり世の人々に自らの新発見を告げ得なかったという主人公の挫折の響きが感じられる。実に、物語は “swlsh," “clang" に始まり、"clank," “swish" に終ったのである。

一般に擬声語は、小児語や日常語、俗語や方言によく見られたり、最近では漫画等にもよく用いられたりするように、形態上必ずしも進んだ段階のものとは考えられていないが、この作品で見る限り、聴覚に訴える擬声語は、確かに簡潔で、鮮明で、ある場合には読者に緊張感や不安感を抱かせる程、効果的な言葉であった。その点ではBloomfieldの"Symbolic forms have a connotation of somehow illustrating the meaning more immediately than do ordinary speech forms." 7という指摘や佐久間博士の「他の概念的な抽象的なまた叙述的な言葉をもつてしたのでは適切に表現し得ないところのものを端的にいひあらはして、心持にしつくりはまり、いはゆる『ピンと來る』という趣を生じる」8という説明は当を得ている。擬声語は、理性的というよりは感覚的で、間接的というよりは直接的で、より鮮明なものを表現するのに適していると言える。又、ドンドン、カチカチ等の重複形の多い日本語に比べて、英語では “swish," “clack" 等の単音節のものが多いとされるが、ライトは実にその英語の特徴を心得、擬声語を効果的に用いることによって冗長を省き、読者の聴覚に直接的に訴えかけようとしたのであった。この作品では、主テーマに係わるマンホールの蓋の音 “clang," “clank" を軸にして、幾重にも対比表現を織り交ぜながら、鮮明に、強烈に読者の心に迫ろうとしている。

<註>

1 乾亮一、「擬声語雑記」(『市河博士還暦祝賀論文集』第二輯、研究社、1947年)、1ペイジ。

2 Michel Fabre, The Unfinished Quest of Richard Wright (New York: William Morrow, 1973), pp. 574-575.

3 Richard Wright, “The Man Who Lived Underground,” in Cross-Section, ed. Edwin Seaver (New York: L. B. Fisher, 1944), p. 58; all subsequent page references to this work will appear in parentheses in this paper.

4 Otto Jesperen, “Sound Symbolism,” Language (1922, rpt. New York: Norton, 1964), pp. 399-400.

5 音声学関係の記述に関しては、「擬声語雑記」と “Sound Symbolism” に負うところが大きい。

6 Richard Wright, Native son (New York: Harper & Brothers, 1940), p. 3

7 Leonard Bloomfield, Language (1933; rpt. London: George Allen & Unwin, 1979), p. 156

8 佐久間鼎、『日本語の理論的研究』(三省堂、1943年)、18-19ペイジ。

本稿は、黒人研究の会1983年7月例会に於いて口頭発表したものを加筆・訂正したものである。

執筆年

1983年

収録・公開

「言語表現研究」 2号 1-14ペイジ

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Richard wright, “The Man Who Lived Underground”の擬声語表現(106KB)

1976~89年の執筆物

解説

「Richard Wright, “The Man Who Lived Underground” の擬声語表現」の英語訳です。元(日本語)→「Richard Wright, “The Man Who Lived Underground”の擬声語表現」

ファーブルさん (Michel Fabre) に見てもらって、自分のレベルがどの辺りにあるのかを知りたいと思い、英語訳しました。ファーブルさんはフランス人ですが、ライトの伝記を書いておられて、その本の序文を読んで「すてきなことを言う人だなあ」と思って以来、何かのきっかけでお会いしたいと考えていたのが、本当の動機かも知れません。

教員再養成の大学院でご一緒した東京の萩野浩さんの家まで押しかけて、英語を見てもらいました。二十数歳年上の英語の出来る先輩しか頼る人がいなかったからでしょうが、お忙しい中をおしかけてご無理をお願いしました。

初めてこの作品を読んだのは夜間の学生としてで、その時の講師(非常勤講師)が小林信次郎(当時大阪工業大学教授)さんでした。その後、非常勤講師として大阪工業大学でお世話になり、この文章も紀要に入れてもらって活字になりました。

振り返れば、萩野さんや小林さんなど、先輩のお世話になってばかり、人に迷惑ばかりをかけてきました。

ファーブルさんとは、85年のライトの国際シンポジウムで初めてお会いし、92年にはジンバブエからの帰り道に、パリで家族と一緒に再会することになりました。その後も、ニューヨークからバズル・デヴィッドスンさんの古本を送って下さったり、お手紙を下さったりと、目にかけてもらっていますが、長い間、ご無沙汰しております。

ファーブルさん、お元気でいらっしゃいますか。

ソルボンヌを背景に家族とファーブルさん

概要(Abstract)

The aim of this paper is to form an estimation of Richard Wright’s “The Man Who Lived Underground" through analysis of some onomatopoeic expressions he skillfully used in some scenes of this “underground" story. This novel has been estimated as an excellent work. The estimations are based mainly on the excellence of the theme and his vision presented in the story. Through the realistic portrayal of the hero’s “underground" life Wright puts broader and deeper problems to us readers. The eyes of most critics, in fact, have been focused on the subject and his viewpoint. However what we cannot fail to miss is the art of his expressions that supports this story.

In this paper efforts are made to describe how Wright avoids redundancy, appeals directly to our ears, then violently beats and deeply stirs our hearts by making the skillful use of echo words, especially by making the most use of clangs and clank, the sounds of the manhole cover, closely related to the main theme.

本文:Some Onomatopoeic Expressions in “The Man Who Lived Underground" by Richard Wright

The aim of this paper is to form an estimation of Richard Wright’s “The Man Who Lived Underground" through analysis of some onomatopoeic expressions he skillfully used in some scenes of this “underground" story. In this paper onomatopoeias or echo words mean articulate sounds1 which are imitative of a particular kind of sound rather than the sound itself, and most of the words we are to refer to here are given the sign of [Imitative.] by O.E.D.

This novel has been evalued as an important landmark in Richard Wright’s world. In 1994 it was published as one of “new American writings" in the anthology Cross-Section, and

posthumously in 1961 included in his own collection Eight Men. It is remarkable that in 1956 the work was selected as one of the novels in Quintet – 5 of the World’s Greatest Short Novels, along with Aldous Huxley’s, Leo Tolstoi’s, Guy de Maupassant’s and William Saroyan’s. In 1973 Michel Fabre pointed out in his The Unfinished Quest of Richard Wright that it was the first time Wright had really tried to step beyond the straight black-white stuff, and at the same time made it clear that it was an important work which inspired quite a few black writers of the following generation like Ralph Ellison (1914 – ).

The estimations are formed on the basis of the fineness of its theme and on his vision presented in the story. Through the realistic portrayal of the hero’s “underground" life Wright poses broad and deep problems to us readers. The theme is broad and deep enough to extend beyond racial problems. His vision is enlightening enough to hint to us that oppressed blacks stand at a vantage point where they can free themselves from daily encroachments and thus see the reality of our society more clearly and more easily than others because of being excluded from it by racism. The eyes of most critics, in fact, focus too much on the subject and his viewpoint. But can we not say they miss the fact that the subject and his viewpoint are supported by his skillful expressions? Or can we not say that they pay too little attention to the skillfulness and appropriateness in his choice of words?

Wright owed the idea for the underground section to a piece in a detective magazine  which was a story of a prisoner being actually held on robbery charges.2 Giving full play to his own imagination from his viewpoint, he made up his story. The hero, who is forced to flee from the police for a murder crime which he did not commit, happens to take refuge by escaping into the sewer. After various extraordinary experiences underground, he surrenders to the police to confess his guilt only to find that the real murderer has been caught. The police regard him as crazy and put an end to the matter by shooting him into the city sewer water. The story itself is gloomy and we end up feeling dissatisfied. But the novel itself never fails to hold our attention throughout the story. The way in which the story develops is so thrilling that we can enjoy reading the reverse of reality which the hero sees in the story. At the same time we cannot forget that the thrill which stirs within us is brought about by his vivid expressions of sounds and colors, his terse expressions with participial constructions or with represented speeches, his devised expressions of dreams which the hero has in the story and so on.

Of all the above devised expressions, we intend to pick out and analyse some noteworthy expressions in the following three scenes:

(1) – the unfolding scene where the hero, while fleeing from the police, happens to see a manhole cover thrown up by the sewer water, hits upon the idea of escaping underground, then puts it into practice – <DOWN INTO THE UNDERGROUND WORLD>

(2) – the scene where the hero, after his extraordinary experiences in the sewers, returns through the same manhole to ground level in order to proclaim his discovery to the world – <UPTO GROUND LEVEL AGAIN>

(3) – the final scene where the hero takes the policemen to the manhole to show his experiences underground, but is shot into the dirty sewer water – <DOWN INTO THE UNDERGROUND WORLD AGAIN>

We can see some onomatopoeic expressions in some other scenes in the story, but we pick out the three scenes here. One reason may be that echo words are used here more frequently and more effectively than in other places. Another reason may be that each scene includes the sound of the manhole cover, which is ringing over the whole story like a keynote. In the story the sound of the manhole cover is used four times – twice in the scene (1) (a noun clang and a verb clang), once in scene (2) (a noun clang) and once in scene (3) (a noun clank).

We intend to focus attention on the manhole cover or its metallic sound – clang or clank. One reason might be that the cover, in a literary sense, plays a role of separating ground-level from the underground – the ground level which is marked by chaos and disorder from the underground where the hero discovers his real-self which he cannot find in his daily life. Another reason might be that the cover symbolizes some dominant theme or other and that its sound plays an important part in appealing symbolically to the ears of the readers.

Now, let us start with the unfolding setting, focusing upon this onomatopoeic clang.

<DOWN INTO THE UNDERGROUND WORLD>・・・・・・A man, apparently the hero of this story, is hiding in a doorway, when the siren of a police car sounds. He says to himself, “I’ve got to hide…." Then a sudden movement in the street catches his attention. The story in the text goes as follows:

Then a sudden movement in the street caught his attention. A throng of tiny columns of water snaked into the air from the perforations of a manhole cover. The columns stopped abruptly, as though the perforations had clogged; a grey spout of sewer water jutted up from underground and lifted the circular metal cover, juggled it for a moment, then let it fall with a clang.

He hatched a tentative plan: he would wait until the siren sounded far off, then he would go out…3

The text shows that the manhole cover pushed up by the sewer water drops onto the street with a vigorous sound and also shows that the writer uses this clang to express the sound of the metal cover. Strictly speaking, it might be better to say that he sets this opening scene where the sound of the cover can be effectively expressed by clang. In this sense, anyway, the frictional sound produced by the cover falling on the ground is expressed by clang.

First of all, some analysis of this word is to be attempted here. Looking up in O.E.D., you will find clang signified as follows:

Clang (klAN), sb.

  1. A loud resonant ringing sound; orig., as in Latin, that of a trumpet, and so still in literary use ; but now, most characteristically, the ringing sound of metal when struck, as in 'the clang of arms’; sometimes also the sound of a large bell. (The underlining is mine.)

The underlined part shows us that the sound of clang is characterized by loudness. In this respect it is suggestive that Otto Jespersen points out that a great many words beginning with l-combinations are characterized by loud sounds.4

Now we should like to put some analytical interpretations upon this cl– [kl], a combination of a plosive [k] and a liquid [l]. Plosives, in most cases, denote sounds which are produced by blowing or striking something, or by impact, friction and so on. Voiceless sounds including [k] are especially characterized by lightness and clearness. Liquids including [l] are melodious and harmonious to our ears and expressed by such movements as shaking, flowing, flying, etc. rather than becoming stationary in a positive sense or of giving a feeling of velvety smoothness in a passive sense.5 These interpretations tell us that the combination cl– [kl], in this case, expresses the light, clear and metallic sound produced by the manhole cover which falls to the ground after being pushed up by the sewer water.

Next some consideration should be given to the nasal –ng [N], the ending of this word. Nasals denote the continuity of a sound and –ng, marked by the reverberation of a sound, is particularly suitable to express grumbling reverberation.6 So it might safely be said that the lingering echo is the chief note of this –ng sound while loudness is that of the cl– sound. The above considerations lead us to the conclusion that this unfolding setting could be adequately expressed by one word clang, which shows that the manhole cover falls to the ground with a clear, loud and metallic sound and also that the sound echoes with a light and clear reverberation. Paradoxically the writer sets this opening scene where clang is effectively represented as a symbol of loudness and lingering echo.

What kind of effect does the writer aim to produce on us readers by this clang? Or why does he use it in this situation? To throw some light on the matter, we must go back to the original. We have briefly touched upon the scene where the hero hiding in a doorway was surprised to hear a police car swishing by. Here is the text of the opening scene where the hero in flight happens to see a sudden movement in the street:

I’ve got to hide, he told himself. His chest heaved as he waited crouching in a dark corner of the vestibule. He was tired of running and dodging. Either he had to find a place to hide, or he had to surrender. A police car swished by through the rain, its siren rising sharply. They’re looking for me all over…. He crept to the door and squinted through the fogged plate-glass. He stiffened as the siren rose and died in the distance. Yes, he had to hide, but where? He gritted his teeth. Then a sudden movement . . . (58)

From the text we cannot see who and what he is, but at least can recognize that he, tired of running, is determined to surrender unless he finds a hiding place. We also find that he is so tense; he stiffens to hear the siren rising, thinking, “They’re looking for me all over. . . ," and that he, unable to find where to hide, is so desperate; he grits his teeth. He has indeed been driven to despair. His desperateness leads him to become reckless enough to devise a plan of escaping into the manhole where the dirty water is spewing out, and bold enough to carry out the plan by creeping out to the street where a police car is swishing past so frequently. He is full of despair, impatience and irritation, so this clang represents a sound so loud that momentarily he forgets all these feelings. He is clearly upset by being unable to find a place to hide. This is why this clang has lingering echo which gives him the illusion that the manhole cover can seduce him into the underground world.

We can see three sorts of effective devices used in this word.

(1) The writer puts the noun clang at the end of the sentence, not the verb clang, so as to produce the effect of a ringing note.

(2) He ends the sentence with clang. The lingering echo of this clang is carried over to the new paragraph, heightened by the pause between.

(3) He contrasts clang with swish of the police car.

It has been mentioned that he is made to feel impatient by the swishing sound. Now let us pay attention to this word swish. Swish is expressed in O.E.D. as follows:

Swish (swiΣ) , int. or adv. and sb.1 [Imitative.]

A. int. or adv. Expressive of the sound made by the kind of movement defined in B. 1; with a swish. Also reduplicated swish, swish.

B. sb.

1. A hissing sound like that produced by a switch or similar slender object moved rapidly through the air or an object moving swiftly in contact with water; movement accompanied by such sound.

Swish (swiΣ) , v. [Imitative. Cf. prec.]

  1. intr. To move with a swish (see prec. B. 1) ; to make the sound expressed by 'swish.’ (The underlining is mine.)

Looking at the underlined parts we can understand the sound of swish is distinguished by rapidness and swiftness of movement. In this case it could be said that the swiftness of the running car makes him feel more impatient. Conversely the writer uses the speeding car in this setting to make the hero feel more impatient.

Let us try to put forward more analytical interpretation. Fricatives including [s] and [S] are designed to copy sounds which are produced by creak, clash, friction and so forth. In this case [s] and [S] of this word copy the frictional sounds (shu [Sɯ] and shu’ [Sɯ’] in Japanese) which are produced by the rubber tires of a running car or a pavement moistened by rain.

Secondly the order, in which vowels symbolize loudness, lightness and distance of sounds, is : [i] < [e] < [ε] < [A] < [a] < [u] < [o] < [x] (or. . . [a:] < [x:] < [u:] ). And the vowels [i] and [i:] in particular are appropriate to symbolize what is small, weak, insignificant, swift, abrupt, etc.

Thirdly [swi] is symbolic of the abrupt change like hyo’ [çjo’], nyu’ [ɲɯ’], etc. in Japanese.

Now we could say that the one word swish expresses the abrupt movement of the police car with [swi], the swiftness and sharpness of the sound with [i], and the frictional sound produced between the movement and the wheels of the car speeding through the rain with [s] and [Σ].

The duration of the sound is naturally short because the car drives away at full speed. It is the shortness of the duration that makes an effective contrast with aloud and ringing clang, which lingers long in his ears. This shortness, indeed, makes the effect of the lingering note of this clang.

It is noticeable that we can see the similar sound combination in the closing scene of this story (clank and swish). What is more noticeable is that the same combination is also seen in the opening scene of Native Son, his previous novel, 1940. Here is the text:

Brrrrrrriiiiiiiiiiiiiiiiiiinng!

An alarm clock clanged in the dark and silent room. A bed spring creaked. A woman’s voice sang out impatiently:

'Bigger, shut that thing off!’

A surly grunt sounded above the tinny ring of metal. Naked feet swished dryly across the planks in the wooden floor and the clang ceased abruptly.7                            

The text shows that the movement of the ringing alarm clock is expressed by the verb clang and its sound by the noun clang. Can we not say that the effect of the loudness and clamorousness of clang is heightened by the contrast with the sharp, short sound of swish produced when the boy scurries over the floor to stop the clock? All this taken into account, this clang seems to symbolize the metallic ring by which the curtain virtually rises on the “underground drama" as well as the echo which seduces the hero into the underground world.

The man, hitting upon a tentative plan of hiding in the sewer, waits for the chance to carry it out. He steps to the manhole and peers into the sewer. Then as the siren of a police car rises again, with a wild gasp of exertion, he lets his body sink into the sewer water through the manhole, grasping the metal prongs, fist over fist. He hears a scream of brakes and sees a white face looming above him. The original reads like this:

'How did this damn thing get off?’ he heard a policeman asked.8 He saw the steel cover move slowly until the whole looked like a quarter moon turned black. 'Give me a hand here,’ someone asked. The cover clanged into place, muffling the sights and sounds of the upper world. (59)

From the text we learn that the sound, made by the manhole cover when replaced, echoes loudly again, but this clang seems to sound somewhat different from the previous noun clang. There are two reasons. One reason is that this time he hears the sound underground while he previously heard it aboveground. The other is that this sound is made by the policeman when he replaces the cover while the previous sound was produced by the sewer water when the cover was dropped on to the ground. Judging from their conversation, one of them must have put it into place, muttering disgustedly to himself, “This damn thing!" Perhaps the writer dares to use the verb clang in this passage with the intention of laying emphasis on the action of the policeman. This feeling of disgust combines with the ringing note of the manhole cover, so the combined sound in the sewer must have rung bitterly and lingeringly to his ears. This clang has a metallic ring which announces the beginning of this underground life while the other clang had a ring of seduction into the underground world. It is quite ironical that the sound is produced by one of the policemen who have driven the hero into the underground.

It is the swish of the police car as described earlier that has made him feel more impatient. It is also the siren of the police car that has forced him into the underground. Let us go back to the original to look at the details. When he peers into the manhole, he hears the siren rising. The passage reads in the text: “The siren seemed to hoot directly above him," which shows hoot is used to express the sound. This hoot includes a vowel [u:] and a plosive [t]. [u:] is symbolic of what is darker, farther, bigger, etc. than any other vowel, and [t] is appropriate to express the sudden, abrupt movement. [u:] conveys the impression that the siren is coming nearer to him, becoming louder and louder, and from [t] we gain the impression that the sound has penetrated his ears abruptly and sharply. In this word there is a strong indication that the sound has urged the hero to make a move but that he is still hesitating to take further action. What interests us is that the high back vowel [u:] of this hoot makes a striking contrast with the high front vowel [i] of swish. It seems that [swiS] and [hu:t] are caught by his ears, mingled with each other, and that he is threatened by the mingled sounds, immediate and remote, large and small, or sharp and dull.

The siren [hu:t], in an instant, makes him put his hands on the rim of the manhole, then lower himself into the watery darkness. In the darkness the siren seems to sound to his ears in a different way. This is learned from the text: “… the siren seemed to howl at the very rim of the manhole," which shows that the writer replaces hoot with howl. In this sentence [haul], generally denoting the sound produced by animate things, is used to express the personified sound of the police car. It seems as if a dog, in chase, were furiously barking at the mouth of the hole, and on the point of leaping down onto the hero in flight. This howl, we could say, speaks so eloquently of the mentality of the pursuer and the pursued.

He releases his hold on the prongs as if he were urged by the howling siren. He drops and is swept violently into leaping sewer water. By clawing frenziedly at a crevice, he has a narrow escape from death and steadies himself in the swift current. Then the sound of brakes comes to his ears. The passage in the text reads “He heard a prolonged scream of brakes and the siren broke off. Oh, God! They had found him!" (59) Speaking of scream – the sound of brakes, the frictional movement of the wheels is indicated by [skr], the immediate, sharp ring of its sound by [i:], and the continuous, lingering note of it by the nasal [m]. The policeman, having seen the manhole cover discarded in the middle of the street, must have put on his brakes sharply. The car stops abruptly, giving forth a sharp and lingering sound in their ears. Such a scene is vividly expressed by one word – scream.

Then the above-mentioned scene is moved to where the cover is put into place by the policeman. The sound of the upper world, muffled by the cover, seems to come to his ears quite differently from what he had heard before as the next passage shows:

…His lips parted as a car swept past along the wet pavement overhead, its heavy rumble soon dying out, like the hum of a plane speeding through a dense cloud. He had never thought that cars could sound like that; everything seemed strange and unreal under here. He stood in darkness for a long time, knee-deep in rustling water, musing. (59)

The sound of the car rumble shows the flowing movement with the liquids [r] and [l], the frictional noise produced between the tires and the pavement with the voiced plosive [b], and the continuous echo with the nasal [m]. It is compared to [hVm] of a plane speeding through a dense cloud. To put it the other way around, they sound strange enough for the hero in the current of the sewer to take them for the rumbling of the plane. This rumble, the combination of voiced sounds, makes a contrast with the four words, swish, hoot, howl and scream, each of them having one or two voiceless consonants. This might be the writer’s device; [rVmbl] and [rVsl], having two liquid consonants (r and l), show a striking contrast between the voiced [mb] and the voiceless [s] and the contrast makes us notice the difference between the remote, dull and noisy sounds aboveground and the immediate, clear and agreeable ones underground. It is remarkable that the combination of rumble and rustle brings out the contrast between them as that of swish and clang did.

Next comes the scene where he peers into the hole for the first time, which is described in the text as “He went to the center of the street and stooped and peered into the hole, but could see nothing. Water rustled in the black depths." (58) It shows that the flowing of the sewer water becomes rustle again, which contrasts with a series of swish, hoot, howl, scream and rumble. When we notice the contrasting sound between them, the din and bustle of human society aboveground seem to sound more harsh and disagreeable to our ears than before. We also find ourselves seduced into the “underground world" as we see a clear picture of the hero standing musing in the sewer where darkness and stillness reign as the manhole cover muffles the sights and sounds of the upper world. Observe the writer’s device ; both clang and rustle are not only inserted among the variedly expressed words but used in two proper ways – the former is used as a verb and a noun while the latter a noun and an adjective.

<UPTO GROUND LEVEL AGAIN> – He finds his identity while he is groping through the sewers and observing the reverse of reality of the upper world from a vantage point where he is not being seen by others. Then he makes up his mind to climb up again to ground level and returns to the same manhole compelled by his new discovery to make a statement to the world. Catching hold of the steel hooks, he hoists himself up, puts his shoulder under the cover, and moves it an inch. Then comes the following passage:

A crash of sound came to him as he looked into a hot glare of sunshine through which blurred shapes moved. . . . A heavy car rumbled past overhead, jarring the pavement, warning him to stay in his world of dark light, knocking the cover back into place with an imperious clang. (88-89)

Crash presents a great contrast to the stillness which has long reigned underground. Now let us go back to O.E.D. once again. Crash is thus described in it as:

Crash (krAS), sb.1 [f. CRASH v.]

  1. The loud and sudden sound as of a hard body or number of bodies broken by violent percussion, as by being dashed to the ground or against each other; also transferred to the sound of thunder, loud music, etc. (It is often impossible to separate the sound from the action as exemplified in sense 2.)
  2. The breaking to pieces of any heavy hard body or bodies by violent percussion; the shock of such bodies striking and smashing each other. (The underlining is mine.)

Loudness and suddenness, as are shown in the underlined parts, mark the sound. In this case the plosive [k] and the fricative [S] included in this word seem to have a loud and sudden note which breaks the profound stillness of the sewers with one blow. When he hears the sounds of the upper world again, he drops back into the dirty current, overwhelmed by the crash. From the text we know they are also a combination of voiced sounds, rumble and jar, which are imitative of the indirect sounds muffled by the metal cover. We notice that to his ears the sounds of the upper world are noisy and dull enough to contrast with the silence underground because jar is distinguished by harshness or in- harmoniousness. In this sense crash is also playing a role of telling the difference between the sounds, aboveground and underground. The following device the writer uses tells how terrific clang sounds to his ears; he puts this noun clang with the preposition with at the end of the paragraph as is also the case of the first clang. When he hears the metallic clang above him, he must have thought that they were sounding an “imperious" warning against him, “Never come back again to the world."

<DOWN INTO THE UNDERGROUND WORLD AGAIN> – He finally succeeds in returning to the ground above. After a while, by irony of fate, together with the very policeman that drove him into the sewers, he comes back again to the same manhole so as to tell what he has seen underground. The story ends ironically, however, as he is shot down into the dirty city sewer by one of them as if he were mere trash. The text of the closing scene reads as follows:

As though in a deep dream, he heard a metallic clank; they had replaced the manhole cover, shutting out forever the sound of wind and rain. From overhead came the muffled roar of a powerful motor and the swish of a speeding car. (101-102)

We mentioned that each of the last three clangs had the ending –ng with some ringing note which symbolized something full of implications. This clank, in place of clang, has the ending –nk including the plosive [k], which is suitable to denote sounds of sudden, instantaneous movement with no lingering note. We find that the cover has made a very loud sound indeed because this word includes cl-, symbolic of loudness, but why does the loud metallic sound have no lingering echo inside the manhole? It is because the policeman puts it into place very gently on purpose for fear of making a noise. Then why does he replace so gently while he replaced so aggressively before? The real reason for his furtive behavior is to be found in the guilty conscience he feels. Now that they have caught the real murderer, they have no need to arrest this man who has surrendered himself to the police. The man, who now speaks of his underground life, appears to them a trouble-maker, because the truth is that they trapped him by a trick into making a false confession, then let him sign his name to the confession. At last one of them is determined to put an end to the matter before their unlawful deeds are exposed to the public eye. Led by the man, he arrives at the manhole. He finally settles the matter by shooting him to death, but begins to have a guilty conscience. When asked by one of his fellow officers why he shot the man, he explains, hiding behind police authority, “You’ve got to shoot his kind. They’d wreck things." But he cannot yet free himself from the guilty conscience. So he hushes the “crying baby" to sleep forever by putting the cover into place as gently as possible.

The final interpretation is to be put on roar and swish, expressive of the sound of the upper world. The O.E.D. expresses it this way:

Roar (rōəɹ), sb. 1

  1. A full, deep, prolonged cry uttered by a lion or other large beast; a loud and deep sound uttered by one or more persons, esp. as an expression of pain or anger.
  2. transf. The loud sound of cannon, thunder, a storm, the sea, or other inanimate agents.

Roar, characterized by loudness, is doubled in tone by swish which stands out in sharp contrast to it. The mixture of the loud roar and the sharp swish must have reached the ears of the hero who is now being washed away with the debris into a bottomless pit. When he hears roar, which is heightened by the effect of swish, he must have felt, falling senseless, as if someone uttered a full, deep, prolonged cry in pain or anger as is shown in the signification 1 in O.E.D. Certainly swish sets off clank to advantage as is the case of the combination of swish and clang in the opening scene. We already mentioned the first clang carried a suggestion of seduction into the sewer; the second clang that of the beginning of his underground life; the third clang that of the warning from the upper world. This final instantaneous clang with no ringing notes, to be sure, symbolizes his collapse which has been brought about because he could not make himself understood by the world. The story, indeed, opens with the combination of swish and clang and ends with that of clank and swish.

Onomatopoeic words are widely spread throughout our daily conversations, nursery words, slangs, dialects, etc. and especially in recent years through comic strips, but are not necessarily established as regular forms. In this work, however, onomatopoeic expressions are effective enough to be terse, vigorous, and vivid to our ears as we have seen, and in some cases enough to make us feel restless or to heighten our tension. In this sense the following remark by Bloomfield is to the point: “Symbolic forms have a connotation of somewhat illustrating the meaning more immediately than do ordinary speech-forms",9 and so is Dr. Sakuma’s explanation: “Onomatopoeia portrays straight-forwardly in words what we cannot express happily by other conceptional or abstractive or descriptive words, and gets into harmony with other feelings, then appeals directly to our imagination."10 We might say, therefore, echo words are effectively symbolic of something sensitive, immediate and vivid rather than something rational, mediate and obscure. The English language is generally said to abound in monosyllabic onomatopoeias such as swish, crack, clank, etc. while Japanese does it by repetitive ones such as don-don [don doŋ], kachi-kachi [katSi katSi], etc. Keeping in mind this special feature of his native language, Wright avoids redundancy, then appeals immediately to the ears of readers by making the most use of echo words. In this story the sounds of the manhole cover, closely related to the main theme, are like rays being focused on clangs and clank, violently beating and deeply stirring the hearts of the readers.

* This is the English translation of my article in Studies in Linguistic Expression, No. 2 (1983), pp. 1-14. (An oral presentation of this paper was made in Japanese at the meeting held by Black Studies Association at Kobe City University of Foreign Studies on July 23, 1983.)

** Part-time lecturer in the Department of General Education at Osaka Institute of Technology

Notes

1 Cf. Inui Ryoichi, “Giseigo Zakki" (“Miscellaneous Notes on Onomatopoeia"), in Ichakawa Hakushi Kanreki Shukuga Ronbun Shu (A Collection of Papers in Celebration of the 60th Birthday of Dr. Sanki Ichikawa), 2nd ser. (Tokyo: Kenkyusha, 1947), p. 1.

2 Michel Fabre, The Unfinished Quest of Richard Wright, (New York: William Morrow, 1973), pp. 574-575.

3 Richard Wright, “The Man Who Lived Underground," in Cross-Section, ed. Edwin Seaver (New York: L. B. Fisher, 1944), p. 58; all subsequent page references to this work will appear in parentheses in this paper.

4 Cf. Otto Jespersen, “Sound Symbolism," in Language (1922, rpt. New York: Norton, 1964), pp. 399-400.

5 Cf. Inui, p. 4.

6 Cf. Inui, p. 3.

7 Richard Wright, Native Son (New York: Harper & Brothers, 1940), p. 3.

8 In the 1961 version (included in Eight Men) “asked" is changed into “ask."

9 Leonard Bloomfield, Language (1933; rpt. London: George Allen & Unwin, 1979), p. 156.

10 Cf. Sakuma Kanae, Nihongo no Riron teki Kenkyu (A Theoretical Study on Japanese) (Tokyo: Sanseido, 1943), pp. 18-19.

Cross-Section, 1944

執筆年

1984年 (Manuscript received May 31, 1984)

収録・公開

Memoirs of the Osaka Institute of Technology, Series B, Vol. 29, No. 1: 1-14.

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Some Onomatopoeic Expressions in ‘The Man Who Lived Underground’ by Richard Wright(115KB)

1976~89年の執筆物

概要

教員3年目、兵庫県立東播磨高等学校文芸部の部員から頼まれて書いたものです。高校の教員になって3年目、担任をした文芸部の加納文代さんから頼まれて、同僚の2人とともにこの原稿を書きました。

馴染めず反発しか覚えなかった高校時代を再現するような新設高校に、今度は教員として行くことになりました。受験勉強も出来ずに外国学部の夜間課程に通った僕が、受験のためにと英語の成績で分けられたクラスの担任をするという、皮肉な事態となりました。

家庭にも、学校にも、地域社会にもすっかり希望を失なっていた僕は、生きても30くらいまでだろうと感じて、生き(死に)急いでいました。出口も見えず、生きる命題も見つからないまま、遮二無二自分を追い込みながら突っ走った日々だったように思いますが、もう一度その時点に戻ったら、きっと同じことをしただろうと思います。

教員になる前の写真は全部燃やしてありませんが、載せた写真は、竣工直前、非常勤講師とし女子バスケット部の人たちといっしょに淡路島の県大会に行った時に撮ったものです。3年目の写真はありません。

本文

露とくとく 誠に浮世 すすがばや

去年の春も、もう終わり頃だったか、吉野の桜の花を見に出かけた時であった。上千本の、奥の、西行庵の近くの夕暮れの、うす暗がりの中で、この芭蕉翁の句に出会ったのは………。

春は、僕にとって、いつも哀しい季節だった。春の頃には、なぜか、かなしいことが続いた。入学やら、卒業やら、花見やら、世の喧噪は、僕には、いつも、縁のないものだった。

冬は、寒くて、つらいこともあったが、そのつらさが、かえって、かろうじて、生きるバネとなった。寒い冬の夜に、暖房具を使わないで、過ごしたこともある。指が冷たくて、かじかんで動かなくなると、木刀を振りまわし、かけまわっては、体を暖め、又、机に向った。そんな寒さが去って、春めいてくると、なぜか、又、わけなく、ものがなしかった。

旅に病んで 夢は枯野をかけめぐる

この句に、最初に出会ったのは、多分、中学校の頃ではなかったかと思う。文字の意味も何もわからなかった。高校になって、古典の時間に、奥の細道をやる頃になると、単行本を買ってきて、読むようになった。光陰は百代の過客にして、行き交ふ年も、又、旅人なり……あまりの句調のよさに、得意顔に覚えたりもした。しかし、本当にその句が切実なものになったのは、十九歳の春ではなかったか……。意味もわからない。背景もさほど知らない。その人がどんな時代に生きて、どんな生活をしたか、想像の域を出ることはない。ただ、感覚が残っている。感覚だけが伝わってくる……そんな気がした。ずっと、ずっと遠いことのようにも思えるし、きのうのことのようにも思われる。

十七から二十一くらいまでの期間は、僕には悪夢の歳月であった。おそらく自分の持つ価値観が、大きく移っていった時代だった。そんな大げさなものではないかも知れないが、それが過ぎた頃には、たしかに自分が、それまでの自分とは違うものになっていた。

(過ぎ去ってしまえば何ともないことでも、その時、本人には、それこそ、生死にかかわることもあるらしい。)

悪夢。

ぼくは、それまで、世に絶対的なものがあると信じて、疑ったことがなかった。そのことを考えたこともなかった。だからこそ、生きるということを疑ったこともなかったし、生きるからこそ、生きなければならないという命題があった。すべて思う通り生きられるはずもなかったが、それでも、思いどおりにゆかないときには、それこそ、事あるごとに後悔をし、自分を責めた。笑われるかもいしれないが。

一日、六時間も寝た日には、ああ惰眠をむさぼって、自分は何となさけない人間だと本気で思った。大阪の街に出て、人の多さと、建物の大きさに驚いて、自分の非力を嘆いて、涙した。笑われるかも知れない。しかし、僕は本気だった。

何がきっかけだったかは知らない。そんな自分が、本当に…絶対的なものを信じているのか…もしかりに、あるとしても、わからないものをあると信じる自分が果たして、本当に、自分なのか・・・そんなことを思い出してから、心の中のすべてが、がらがらと音をたてて、くずれはじめた。

一瞬には、くずれなかった。長い歳月が必要だった。悪夢の連続であった。夜すら、ねむれなかった。ちょうど、大学入試や、家のごたごたが重なった。が、それどころではなかった。自分の存在がわからない…くる日も、くる日も、同じことを考えた。生きる命題が見つからない…そんな言葉に換えた……生きる命題が、見つからない…

旅が、身近かなものになった。下駄ばきに寝袋で出かけるようになった。駅のベンチに寝た。道端に寝た。草花が目に入ってくるようもなった。

山陰に出かけたときのことだった。前日、松江止まりの列車にのって、駅に降り立ったのが、夜の十一時すぎだった。駅のあたりをぶらぶらしながら、その日は、駅のベンチに寝た。翌朝、修学旅行にゆくらしい中学生の声におこされた。別にこれといったあてもなかったが、入ってきた鈍行列車に乗った。益田まで、十時間以上かかったろうか。秋だった。山陰独特の、どんよりした空だった。目の前の景色が、どこまでいっても、かわらなかった。しかし、退屈だとは思わなかった。時の流れが、わからなかった。

そんな頃だったと思う。毎日、毎日、寝床の中の暗やみで、悪夢をみた。ねられぬことを、心底つらいと思った。ある夜いつものように、ねむられないまま、あかりを消して、何時間も疲れた体を海老のようにかがめながら、同じことをくり返しくり返し考えていた。いまにも砕けそうな体とは、うらはらに、とがった神経だけが、なぜか、冴え渡っていた。

頭の中を、一つの思いが去来した。

なぜ、その句が浮かんできたのか、わからない………

旅に病んで 夢は枯野をかけめぐる

……浮かんでは消え、浮かんでは消えていった……知らずに泣いていた。

意識すればするほど、涙が止まらなかった。部屋には、他に誰もいないのに、なぜか、声が出せなかった。

今、僕は高校で英語の教員をしている。くる日も、くる日も、人に疲れながら、精一杯、精力的に、それこそ魂を削りながら、がたがたの体を引きずりながら……

三十の坂を、のぼりだした。

執筆年

1978年

収録・公開

同高校文芸部「黄昏」 6号 (1978年)32-34頁。

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