つれづれに:嘱託講師(2022年7月26日)

2022年7月26日つれづれに

HP→「ノアと三太」にも載せてあります。

つれづれに:嘱託講師

 二つの人事(→「女子短大」、7月23日、→「二つ目の大学」、7月24日)がだめになった頃に、先輩から「嘱託講師に出きるで」と言われた。嘱託講師は初めて聞く名前だが、黒人研究の会の会員で専任のなかった二人を順々に採用していたらしく、その任期が切れたようだった。契約が有期の3年任期、週に二日で6コマ、月額20万円、専任扱いで紀要にも投稿可能という条件だった。2年目にサンフランシスコであった「MLA(Modern Language Association of America)」で発表(↓)した時は、先輩が気を遣ってくれて旅費の出ない出張扱いにしてくれた。初めて稟議書と報告書も書いた。学会では大阪工大の教員として申し込んだので、会場でOsaka Institute of Technologyと名前が印刷された名札を渡された。専任教員とは思っていなかったが、外から見れば大阪工大の教員だった。

 実際には1年目よりコマ数が増えていたから、授業自体はそう変わらずに月額が増えたのだから、有難い話だった。その時は深く考えなかったが、この時は正職員扱いで年金用に給与から一定額が差し引かれていたらしい。2年間に支払った分の年金が五千円程度だが、私学共済から今も支給されている。私学の非常勤の率が国からの助成金に関わるらしく、表向きは常勤、実際には非常勤というポジションが必要なようだった。大阪工大の場合はそのポジションに嘱託講師という名前をつけていたことになる。教歴の欄にも最初嘱託講師と記入していたが、専任扱いだと知った人が嘱託を取っときましょうと言って、大阪工業大学一般教育英語科講師と書き直してくれた。嘱託講師の期間は入学試験の採点にも駆り出されて、初めて大学入試の採点もした。2日ほど採点して十数万が振り込まれていた気がするが、文系の私学では30万とか40万とからしいよとか、関学が一番高いんちゃうとかと、誰かが言っていた。どの大学でも入試検定料は結構高いし、入試が大きな収入源であるのは間違いない。特に大手の私学では、経営に大きく響くようで、不祥事でも起こして入試の倍率が下がるのは死活問題というわけである。
また先輩のお陰である。「黒人研究の会」(6月29日)、会誌の編集、最初の教歴「大阪工大非常勤」(7月11日、→「あのう……」、6月28日)、授業での「LL教室」(7月12日)、非常勤での「紀要」(7月18日)、それらに加えて今回は嘱託講師である。ある時、大学で大きなパーティーがあり、一般教育の英語科の教員も参加した。先輩は司会進行も任されていた。参加者に外国人も結構いたので、英語での司会が必要で駆り出されたのかも知れない。物おじすることなく場馴れした英語で、堂々としていた。さすがである。教育委員会に大学の誘いがあったのも、こういった面も買われたのかも知れない。この調子で、工学部の中で教授としていろいろこなしているんだと強く感心した。

 この時期に、MLAで発表した南アフリカの作家アレックス・ラ・グーマの作品論をまとめ直して、「Alex La Gumaの技法 And a Threefold Cordの語りと雨の効用」を「中研所報」(1988年)という紀要(↑)に載せてもらった。工学部の中央研究所の紀要の枠に一般教育も入れてもらっていたようである。最終的には大阪工大とは専任での縁はなかったので、この紀要の抜き刷りは嘱託講師を辞めたあとに赴任した宮崎医科大学(↓)に送られて来た。
次は、ミシシッピ、か。