概要
グリ・ワ・ジオンゴ著、北島義信日本語訳『川をはさみて』(門土社、2002年)
優雅で生命力溢れるホニア川はカメノ村とマクユ村を隔てつつも、二つの村を結びつける唯一のものだった。双方伝統、文化を重んじてきたが、キリスト教の浸透により対立が生まれる。カメノにうまれた高潔な青年ワイヤキは、キリスト教徒でありギクユ人としての生活文化を望むムゾニがギクユの伝統的儀式である割礼により命を落とすが、彼女の死により、二つの文化の融合・統一の課題を思索し始める。ワイヤキは何よりも教育の重要性を説き独立学校建設を通して、その具体化に邁進する。その途中で伝統・慣習を守るためには白人を追い出すべきという考えに至るも改宗者との対立や、その娘との恋、味方のワイヤキの才能への恐れや嫉妬などの苦難により具体的政治闘争に発展させることはできずに終わる。
(2005年度アフリカ文化論、農学部獣医学科 中間由規)