世界で一番いのちの短い国 ~シエラレオネの国境なき医師団~

課題図書

概要

山本敏晴著『世界で一番いのちの短い国 ~シエラレオネの国境なき医師団~』(白水社)

 この本は、アフリカ大陸の西端でギニアの隣に位置する、面積は北海道ほどで、人口は約450万人のシエラレオネ共和国という小国を舞台とする話である。この国の平均寿命は(執筆当時)25~35歳と世界最短で、国連やWHO(世界保健機構)から常に注目される、世界最悪の医療事情の国である。この本では、戦争で崩壊した病院を再建し、井戸を掘り、トイレを作り、医療物資を輸送し、外来を作り、入院病棟を作り、全力で医療活動していくその過程を、現地で医師団の一員として働いていた著者が、詳細に記述している。一方で、著者が理想としている、「半年して自分が帰った後もその活動が無駄にならないように未来に残るシステムを造る」ことや「現地文化を尊重し理解しながらも、理論的・科学的な国際協力をする」という、非常に高い目標に向かって挑戦していく姿勢、国際貢献を志す人に対する、勇気と実践的な知識などについても書かれており、シエラレオネの現状や基礎事項、今後の課題など、国際協力に少しでも関わろうとする人々の参考となる一冊である。
(2005年度アフリカ文化論、教育文化学部生活文化課程生活環境コース 中村美樹)