つれづれに:腸腰筋(2024年6月17日)

つれづれに

つれづれに:腸腰筋

 腸腰筋を痛めた。なかなかきつかった。50代の半ばに腸の調子が悪くなって、毎日トイレに座りながら、これが痛みなんやと思った時以来である。その時は痛みがひと月ほど続いたが、今回の痛みも相当で、期間もほぼ同じ程度である。違う種類の痛みを一月ずつ味わったわけである。まだ左腰の辺りに少し痛みが残っているが、だいぶ楽にはなっている。

腸腰筋は腰椎から始まる大腰筋と骨盤上部から始まる腸骨筋からなっていて、腰から太ももの付け根辺りについている。小腰筋もあるが、半数以下の人にしかないらしい。太ももの骨の内側につながり、上半身と下半身をつなぐ大切な筋肉である。今回痛めたのは大腰筋の方である。大腰筋は腰椎のスタイルを保つ役割があり、その筋肉が硬いと動きに制限が生じるために、腰痛を引き起こす。

最初、左腰に違和感を覚えた。何度か同じ個所に痛みを感じたことがあったので、今回も同じような意識でいたら、おおごとになった。最近は可能な限り自転車で週に一度手入れをしてもらいに行っているから、今回も腰が少し痛いんですけどと言ってから治療を始めてもらった。気を遣って、鍼(はり)も打ってくれ、痛みのある個所を普段よりも丁寧に揉(も)んでくれた。いつもならそれで痛みが取れていくのだが、左の腰から尻の辺りの張りと痛みがだんだんと激しくなっていき、仰向けになって寝られなくなった。週に2度揉んでもらうようにしたが、とうとう仰向けどころか右にも左にもなれずに、一晩じゅう寝られない状態になった。堪(こら)えきれずに、定休日を承知で無理をお願いした。遠出してすぐには戻れないようだったが、夕方に車で迎えに来てくれて治療室まで行って揉んでもらえた。帰りは、座席に座っていられず、後ろの座席で横向きに寝たままだった。車から降りて家の中まで歩くのも、きつかった。座ることもできないのでパソコンも使えず、書けなかった。

峠を越したある時期から、その痛みが和らぎ、だいぶ楽になっている。距離が長くなければ、自転車で買い物にも行っている。あとは1時間ほどの散歩が出来、机に向かって座って書けるようになり、自転車で白浜(↓)まで行ければ、通常に戻る。書く方は、先に何とか始めることにした。

 1時間ほど歩き、自転車で買い物やマッサージに通う日常をいつも感謝しながら実感しているが、こんなことがあると、余計にその思いが強くなる。3ケ月に一度の検診と1か月に一度のズームの集まりも1か月延期してもらった。

原因は、オーバーワークと年齢に対する自覚のなさである。動けなくなるほどの痛みは体からの強烈なSOSだから、それまでやっていた内容を変える必要性に迫られているわけである。しかし、まだ大丈夫だろうという根拠のない無意識の慢心を拭(ぬぐ)えないのが愚かしいところである。年とともに体は衰えていくのだから、年相応に対処するのも当然だ。しかし実際には、前には出来ていたのにという弁解がましい過信が邪魔をする。特に元々体が強い場合は尚更で、困ったものである。痛みに苦しんでいる間に6月になり、カレンダーの更新も出来なかった。紫陽花(あじさい)もすでに枯れ、そろそろ梔子(くちなし)も終わろうとしている。

<猫(Mちゃん)とデルフィニウム> (4号)