つれづれに:HIV人工説詳細(2024年10月13日)

つれづれに

つれづれに:HIV人工説詳細

 エイズに関するアフリカの7回目で、HIV人工説の詳細である。大枠は→「HIV人工説」で書いているので、今回はその詳細である。

HIVはアメリカが生物兵器を製造する過程で故意または偶発的に漏れたウィルスであるというと如何にも荒唐無稽(こうとうむけい)な話に聞こえるが、少し歴史を辿(たど)ればそうではないことに気づく。第2次大戦で日本やドイツで毒ガス兵器や生物兵器が製造されて戦場で使用された。特に、大日本帝国陸軍731部隊は中国大陸で細菌兵器を4度も使用した。たくさんの死者を出し、詳しい経緯も明らかになっている。第2次大戦後も、アメリカやソ連などの軍事大国が生物兵器の製造を止める理由がない。それに、人工説を強く主張したのは、自分が関わる医療行為が生物兵器製造関連の流れの中にあるとは知らずに参加した人たちが、周りの状況から考えてその流れの中にいることを気づいて行動に出たという一種の内部告発でもあった。莫大な利益を追う製薬会社、資金を集めたい国連エイズ合同計画や世界保健機構(WHO)、研究費や運営費を獲得を狙う研究者や非政府組織(NGO)、投資先を狙う多国籍企業や援助を目論(もくろ)むアフリカ政府が複雑に絡(から)まって、こぞって公式データまで捏造(ねつぞう)したのである。荒唐無稽な話だとは言えない。

前にも書いたが、エイズのアフリカ起源説を言い出したのは、CDCが重用した人物ギャロである。ギャロは国立癌(がん)研究所でエイズウィルスを発見したと主張していた。国立癌研究所は、生物兵器開発研究の批判をかわすために1971年に大統領ロバート・ニクソンが米国陸軍生物兵器研究班の主要な部分を移した施設である。

 「ニューアフリカン」の編集長バッフォ・アンコマー(Baffour Ankomah)は、生物兵器製造疑惑説に応えた国会証言やB型肝炎の男性同性愛者などへの実態実験と最初のエイズ患者との時期的な符合している、というのを主な根拠に早くからエイズが人工的に生み出された病気だと主張していた。皮膚科医アラン・キャントウェルJr(Alan Cantwell Jr.)はエイズと癌(がん)研究者として数々の具体的な根拠を示して、HIVが米国産の人工ウィルスで、エイズが生物兵器の実験から生まれたものではないかと結論づけた。起源説を主張するロバート・ギャロやマックス・エセックスは政府や製薬会社やマスコミとの繋(つな)がりが強く、学問的に過去に重大な間違いをおかしてきたこと、1978年に男性同性愛者に実施されたB型肝炎の人体実験がエイズの発症に大きく影響した可能性が強いこと、過去に米国政府が人体実験を行なった疑いが濃いことなどがキャントウェルの根拠だった。キャントウェルもすでに紹介した1994年のエイズ会議の立役者の一人で、会議は政府や製薬会社やマスコミに黙殺された。

 政府の遺伝子組み換えによる超強力細菌兵器開発計画疑惑は、医師ドナルド・マッカーサーが国会で証言した1969年に遡(さかのぼ)る。マッカーサーは、専門家なら遺伝子操作で、細菌に対して免疫機構が働かなくなる、極めて効果的な殺人因子となる超強力細菌の開発は可能であることを示唆し、「次の5年10年の間に、既存の病原因子とはある重要な点で異なる新しい感染性の微生物を作る可能性があり、感染症から比較的容易に身を守るために頼っている現存の免疫学的な手法や治療方法では手に負えなくなると思います」と証言した。その証言は80年代初頭の最初のエイズ患者騒動と時期が符合している。

過去に米国がB型肝炎の人体実験を男性同性愛者に行なった事実や、癌研究の名の下に生物兵器の研究を継続し、放射能の人体実験を行なった疑いが濃いこと、それらが兵器産業や製薬会社などと密接に繋がっていたという構図を考えれば、「アフリカ人が性にふしだらであると思い込んでいる人たち」が主張し続けるエイズのアフリカ起源説より、エイズが人工的に造り出された病気であるという主張の方がはるかに信憑性がある。

次回はタボ・ムベキである。