つれづれに:立冬(2024年11月7日)
つれづれに:立冬
冬立ちぬ、である。旧暦では今日から今年の立冬の期間が始まる。22日の小雪(しょうせつ、木々の葉が落ち、遠くの山々には初雪が降り始める頃)までの2週間ほどである。30℃以上の日が長く続き、雨も多かった。陽が出ないので、最初の49個の柿は、剥(む)いて干してはみたが、乾かず重みで落ちたものが多かった。そのあとも虚しい努力を続けたが、残った柿も黴(かび)が生えて、結局土に戻した。→「台風10号」(8月28日)が来て、少し瓢箪南瓜(ひょうたんかぼちゃ)の柵(さく)とオクラが傾きかけたが、概(おおむ)ね被害がなくて済んだ。それ以降、台風が来なかったのは幸いである。何日か陽が出ているので、 気を取り直してまた柿を干した。今度は何とかいきそうである。80個ほど、作業がなかなかきつい。腰をやられてまだ元に戻っていないので、尚更である。まだ樹には実が半分ほど残っているが、土曜日からまあた3日間は雨の予報。その後、まだ生き残っていたら、また気を取り直して最後の作業をするとしよう。
きのうは、街まで自転車で出かけた。市役所が目的地である。1時間はかかる。普段はそうでもないが、今の状態では少しきつかった。確定申告を9月末に出した分が、市税や国民保険料に反映されているかを心配した娘に確認するように言われたからである。普通は確定申告を2月~3月に出すが、今年は9月に出した。過去5年間は遡(さかのぼ)って提出できると初めて知った。確定申告で還付される可能性が高い、らしい。電話で済むと思って問い合わせてみたら、本人確認が出来ないと教えられないと言われた。娘には世話になりっ放しなので、無理して出かけたというわけである。第3庁舎の市民税課に辿(たど)り着いて、事情を説明した。本人確認をしないで答えるので、本人確認はしないんですか?そう言われてきたんですけど、と言ったら、書類があるからいいです、それに番号などを聞いて電話でも出来ましたけど、と。そんなーあ。いつもなら、ここで切れるところ、妻からは周りはみな宮大の卒業生やから、喧嘩せんといてね、と言われたのを思い出して、ぐっと堪(こら)えた。
金木犀の花が咲き始めたと思ったら、もう樹の下には落ちた細かい花がぎっしり、お隣から苦情が出ている。去年はそうでなかったみたいだから、樹が大きくなってはみ出した部分に、今年はぎっしりと花が咲いたようである。干し柿が一段落したら、剪(せ)定作業をするか。他の樹も枝がずいぶんと伸びてる。下からは羊歯(しだ)や紫蘭(しらん)がはみ出している。雑草も結構多い。気になる人は草木の闖(ちん)入者も我慢ならないものらしい。そちらの庭には行かないようにと常々草にも樹にも充分に言い聞かせてはいるのだが、どこ吹く風である。
行きも帰りも、車の行き交う道は避けて田圃(たんぼ)道を通る。通の両脇や田圃の畦(あぜ)のあちこちに、いろんな種類の芒(すすき)が揺れている。まだ穂が出ていない芒を切って持って帰っても、3日もすればほうけてしまう。水が枯れてもそのままにしておくと、枯れすすきの出来上がりである。
一気に秋が深まった。冬がそこまで来ている。
立冬に 座って柿を剥く 芒が揺れる 我鬼子
小島けい画