ZoomAA2d:奴隷船船長(2024年1月16日)

2024年1月17日つれづれに

つれづれに:奴隷船船長

 今でも船長か船舶会社かが→「積荷目録」(Cargo Manifests)を作成して、入港する税関に提出する義務があるらしい。大学(↑、→「大学入学」、→「夜間課程」)でいっしょにバスケット(→「運動クラブ」)をした先輩は卒業後三井汽船に就職したらしいので、ひょっとしたらそんな仕事もしていたのかも知れない。卒業後会ったことはないが、一度会って話してみたいと思う一人である。たぶん、芦屋の両親の家を引き継いで、そこに家族と住んでいるような気がする。会えずじまいで終わりそうだが‥‥。4年の夏休みにアメリカに短期留学もして、将来設計が立てられる人だったのだろう。185センチほどあって、プレイのレベルも高かった。いっしょにプレイして、いつも気持ちよかった。練習のあと、並んで話をしながらモップがけをした記憶が残っている。

 →「『ルーツ』」(↑)は奴隷貿易が一番盛んな18世紀の半ばの話なので、今ほど法律的にうるさくはなかっただろうから、たぶん船舶会社も一番事情を知っている雇った船長に積荷目録を書いてもらっていたに違いない。税関が今の制度とどう違うのかは知らないが、入港先のアメリカの奴隷商会に積荷の詳細を書いた積荷目録を渡していただろう。その積荷目録が資料として残り、ヘイリー(↓)が図書館で船舶記録とともに目にした可能性が高い。その当時、積荷目録に商品価値があったかどうかはよくわからないが、連邦政府の作家プロジェクトなどを通して図書館に収められて今に残っているようである。

 「ルーツ」第1部の最初で、入港の準備、アフリカの西海岸での交渉、大西洋上の奴隷船(↓)、入港後の商会との交渉の場面で船長が登場している。会話した相手は、乗船前に説明を受けた船舶会社の所有者、準備段階と船上で色々質問した一等航海士、アフリカ海岸で交渉した奴隷捕獲人、入港後に報告した奴隷商会の代理人である。会話の端々から、当時の奴隷貿易に携わった奴隷船の一員として、船長が持っていた奴隷に対する見方が読み取れる。

 入港準備の場面では、船舶会社の所有者から奴隷船の構造図を見ながら解説を受けている。初めての奴隷船での航海で、戸惑った様子が窺える。一等航海士からは、鉄製のと手枷(かせ、wrist shackles)と首輪(neck rings)や焼きごて(branding irons)、木製の指締め(thumbscrews)などの説明も受けている。初めて見る折檻用の指締めを見て「実際に使ったことがあるか?」と一等航海士(↓)に質問をして確かめていた。予想外の道具に驚きを隠せなかったからだろう。

 初めてのことで戸惑うことも多かった。西アフリカの海岸の砂浜に張ったテントの中で交渉は行われたが、ラム酒を飲んで気合を入れるほど緊張していたようだ。値段の交渉をしようと話を切り出したが「競争相手が多いから、今は奴隷を集めるのも大変だ。先に人数を決めた方がいい。値段交渉はその後だ」と相手の奴隷狩りに急かされていた。

船上でも慣れないせいで寝つきが悪く、敬虔なクリスチャンの船長はこんなことをやっていいのかと寝苦しい夜が続いている。慰めにアフリカの少女を湯たんぽ代わり(a belly warmer)にと薦められているが「姦淫(かんいん)の罪だ!」(Fornication!)と最初は頑(かたく)なに断っていた。船上ではベテランの一等航海士にほとんど任せ切りだった。アフリカ人をどう見ていたのかは、船長と一等航海士の会話からおおよそが窺(うかが)える。次回は一等航海士になりそうである。