概要
峯陽一著『南アフリカ「虹の国」への歩み』(岩波書店)
「虹の国」とは雨上がりの青空にかかる七色の虹のように、黒人も白人も、すべての人種やエスニック集団が互いの違いを認め合いながら、対等に力を合わせ、開かれた国家を建設していこうとする決意を込め、ネルソン・マンデラが生まれ変わった南アフリカをたとえたことばである。植民地時代に受けた数々のアフリカの人達の苦労とその時代の人々の生活、植民地支配を免れるための争い、植民地時代を経てたどり着いたアフリカの人達の思想など私たちが知らなかったアフリカという国が経験した苦労、それを経て立ち上がろうとするアフリカの努力、そのための政策、組織などを、アパルトヘイトの崩壊、植民地支配と人種主義の起源、都市化の百年、同時代の南アフリカ会社、新生南アフリカの挑戦などの区別に分け、南アフリカの過去を振り返り、現在の姿が書かれ、未来への可能性が写真や図なども用いて分かりやすく描かれている本である。
(2005年度アフリカ文化論、教育文化学部学校教育課程初等教育コース 上冨秀一)